未来へ向かうのだ。 ~ひぐちアサ「家族のそれから」




ひぐちアサ強化週間、ということで初コミックスの「家族のそれから」。
「ヤサシイワタシ」の1巻と同時発売で、ほぼ同時期に買ったと記憶している。

母親が亡くなって、残された人々――高校生の兄と妹、そして籍を入れたばかりだった26歳の義父――が、お互いに気兼ねしたり、思いやりがすれ違ったり、ぶっちゃけたり、しながらホントの「家族」になっていく過程の物語。

ホロッと泣けて気持ちがあったかくなる、ファミリー漫画。

いいシーンがいっぱいあるけど、義父・ケンジさんの言ったこのセリフが心に残る。


「オヤが先に死んで 当たり前じゃないか」


そうだよな。
私の両親はまだ健在だけど、いつかは間違いなくお別れすることになるのだ。
その時のことを考えるだけで、ちょっと胸がいっぱいになる。
今は一応実家を離れて自活をしているけれど、その存在にすごく支えられているから。
でも、当たり前のことなんだ。いつかのそのときのために、安心して送り出せるように、そのためだけにでも精進していかなければ、と思った。

あと、妹・メグちゃんがとんでもなく可愛らしい。この可愛さは出したくても出せないと思う。
兄貴がヤキモチのせいで胃炎起こして入院しちゃうのもわからなくも…ない。
というか、空回り気味なお兄ちゃんも可愛いよね。



同時収録の「ゆくところ」は、デビュー作だ。
やっぱり絵は一番ヘタだし、何度読んでもよくわからない箇所もある。
けど、忘れがたい迫力のある作品だと思う。

同性愛者の男子高生・小泉が主人公。その彼が好きになった同級生・湊は、小児マヒで右手足が動かない。

湊に対して、小泉が言う。


「『障害者』ってどんな感じ?」
「お前の劣等感 好きだよ」


これ…何というか、すごいセリフだ。
相手の全てを受け入れているようにもとれるし、反対におとしめているようにも聞こえる。
どうなんだろうか。

湊がステキな奴だなぁと思う。
給食の時間の回想シーンで、ちょっと泣きそうだ。


傷を舐めあう、というわけではなく、これらもまた「生きようとしている人たちの物語」だ。


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