表面下のエロス ~望月花梨「純粋培養閲覧図」

ジュンスイバイヨウ
望月花梨が好きだ。
仲間がいなくてちょっと寂しい。
高校生の頃に周りに単行本を貸したりしたけど、あまり反応がなかった。
寂しい。

まず、絵柄がど真ん中ストライクだ。
初期の絵も、最近の絵もどっちも好き。
コマの中の、構図やアングルの描き方も好き。
表紙や扉絵等、一枚絵のセンスも好き。

それから、この人の作品世界は、直接的ではない、暗喩に満ちたエロスの世界だと思う。
そういうシーンがあるわけじゃない。キスシーンもめったに出てこない。
話の内容だって、そんなにやらしいわけじゃない。
でも、ストイックな物語の中に、常に根底にあるエロティックな衝動が感じられる。
それは思春期の少年少女のもつ、ゆきばのない、残酷で薄情だったりする情欲のようなものだ。


比較的初期の作品である「純粋培養閲覧図」は、そういう面が顕著に出ている作品だ。
作者もあとがきで「描いているうちにごちゃごちゃしてきちゃって反省」と書いているが、確かに人間関係や話の流れがちょっとわかりづらく、未熟な部分もあるように思う。
描きたいことが未消化のまま、漫画になっているような感じ。
でも、実家からマンションに持っていくリストに入ったくらいに好きだ。


中学校を舞台にした、夏の話と冬の話の2編が収録されている。
夏の話は、田舎で夏休みの延長を過ごす従姉弟の男女が、不思議な出会いをする話。
冬の話は、自分より背の低い彼氏のいる女子生徒と、理科室で蘭を育てる男子生徒と、安定を望む女性教師との話が、それぞれリンクしている。

特に冬の話の方は、ぼかした表現をしているけど、まあまあすごいことをやっている。
その、表面下でのえろさというのが、見るからにえろいのよりも、よっぽどえろい気がする。
少女漫画で、「マスターベーションくらい許されるでしょう?」という台詞が出てきたのが、読んだ当時は衝撃だった。
言ってるのはちなみに男子生徒だ。

一応、ハッピーエンドという形で終わっているけれど、まだまだおハナシの途中といった感じだ。

それにしても、どれだけ「エロ」という言葉を使えば気が済むんだ……自分……。


作者さん、最近はあまり活動をされてないみたいだ。
ちょっと前、すんごい久しぶりに短編が掲載されているのを雑誌で見たきりだ。
近頃は雑誌を立ち読みしなくなったので、載ってるのか載ってないのかよくわからないけど。
早く活動を再開してほしいなぁ……。


この記事へのコメント

  • 赤魚

    はじめまして☆
    私も望月花梨さん、好きです!
    といってもそんなに望月さんの作品をたくさん読んでたりするわけではないのですが…
    漫画の雰囲気やストーリーなどなど暗いところもあるけど大好きです。
    「純粋培養閲覧図」は、読んだこともなければ聞いた事もなかったので是非読んでみたいと思いました。
    題名からすでに好きです☆

    それでは☆失礼しました~☆☆
    2006年12月11日 01:54
  • 三森紘子

    赤魚さんへ

    コメントありがとうございます!
    うわわ、このブログ初コメントだ、うれしいなぁ。
    「純粋~」はタイトルを裏切らない内容だと思うので、ぜひ読んでみてください。
    10年近く前に出た本なので、ブックオフとかに行ったほうが見つかりやすいかもしれません。
    それでは~☆
    2006年12月11日 07:41

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