どうかな、河崎? ~伊坂幸太郎「アヒルと鴨のコインロッカー」

アヒルと鴨
読んだのは二回目。
面白かった。本当に面白かった。


何年か前に図書館で手に取ったのが、最初だった。
ヘンなタイトル、どういう意味だろう?と興味を持ったのが一つ。
あらすじ紹介に、「悪魔めいた長身の青年」とあるのを見て、ほほう、一体どんな青年じゃろかと気になったのが一つ。
という非常にしょうもない理由から読み始めたのだが、それが伊坂ワールドへとどっぷりはまっていく道の序章であったのだった。


大学へ通うためアパートに引っ越してきた椎名は、隣人の河崎と名乗る青年に出会う。
彼は唐突に「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてくる……という、現在の話。
それから、琴美、ブータン人のドルジ、河崎がペット殺しの犯人グループに迫る、今から2年前の話。
現在の話と2年前の話が、交互に語られる。
この構成が、とても効果的だ。

読みすすめて行くうちに無意識に積もっていく、気づかないほどかすかな違和感の理由が終盤で明かされる。
思わず最初の方に戻って、パラパラ読み直したくなる。
すごいなー。見事だなぁ。と感心することしきり。

伊坂幸太郎の小説の、徹底的に張り巡らされた伏線と、フレーズの繰り返しによってそれが効いてくるさまは、読んでいて本当に気持ちがいい。

ラスト辺りは、軽く武者震いしながら読んでいた(端から見たら完全にあぶない人だ)。
ドルジの、河崎の、琴美の、それぞれの思いを想像すると、胸がきゅっと締め付けられるようだった。かなしい、というのともちょっと違う。せつない、というのに、ちょっと当てはまる。

そういえば、これも初読のとき、ボブ・ディランのCDを試聴しにCDショップへ行ったんだった。
なぜなら、作中で彼の曲が重要な役割を果たすからだ。つくづく影響されやすい。
映画では流れるだろうから、いっぱい聴くことができるだろう。

でも…これを、どうやって映画にするんだろう?
まったくこの話のままで、というのは無理だろうから、原作とは少し違うものになるんだろうけど、それにしたって難しそうだ。
うーん、どんななんだろう。


あー、それにしても面白かったなぁ!幸せ。


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