あの、夏。~原作・はやみねかおる/漫画・武本糸会「ぼくと未来屋の夏」全2巻

ぼくと未来屋の夏

ハルヒを探すため久々にブックオフへ行ったら、お目当てのハルヒは見つかったけど、他にもいろいろ想定外の本を買ってしまった。


この「ぼくと未来屋の夏」は、新刊が出たときから気になっていた。
でも、原作つきのコミカライズは当たり外れが激しいので、買うかどうかは保留にしてました。
今回ブックオフにて、めでたく中身を確認できたので購入に至る。


タイトルの通り、「夏」一色の漫画だった。
それも、小学校のころか、せいぜい中学生くらいまでの「夏」の感覚が、次々に呼び起されてくる。
ラジオ体操、勉強会、プールの繰り返し。
自由研究。花火大会。ひぐらしが鳴き出すと何だかかなしくなる感じ。
夕立ちが来る前の、水気をしっとり含んだ空気と、どことなく不穏な感じ。
あの頃の夏は、どうしてあんなにたまらない気持ちでいたんだろう。
長い夏休みというものがなくなった今とは、「夏」の意味合いが全く違う。


この作品にも、素敵な夏のシーンがたくさん出てくる。
たとえば主人公の風太が、終業式の帰り道、重い荷物を持って高台にのぼり、一休みする場面。
そこからは海と町全体が一望できる。
木陰に座っていると、やわらかな風が前髪をなぶる。
汗がひいていく。ひんやりして気持ちがいい。
そんなことは書いてないけど、風太はきっとそう感じているに違いないと思える。


他にも、キャスター付きの椅子の足を裸足でペタリと触る感覚や、すべってひっくり返ったときの目がチカチカしそうな痛さとか、五感に訴える描き方がほんとに上手いと思う。
作画技術でいったら、これぐらいの絵が描ける漫画家さんはたくさんいそうだけれど、武本糸会はそれだけでは計れない、何かの魅力を持っている。


中でも大好きなのが、雷が突然鳴って風太がびっくりするシーン。
すごいなー。なんでこんなふうに描けるんだろう。


ストーリーは、最後「えっ?」となった。
猫柳さんがチラッと口にした「サン・ジェルマン伯爵」のことを知らないと、何が何やらわからない。
検索して調べてみたら、何となく「こういうことなのかな…?」と真相がおぼろげにわかったけど、これは読者に推理してくださいってことなのかな?
そのあと、さらに「ええっ?」なエピローグもついてた。マジかよ…。
微妙に消化不良な感じだな…。
だから、2巻より1巻の方が好きかも。


出てくるキャラクターは大人も子どもも可愛くて、めっちゃ好み。
未来屋の猫柳さんがすっごいカッコいい。ぬぼーっとした人が好きなのです。
そういや、猫柳さんは最後まで謎な人だったな…。


風太も風太のクラスメイトもみんな可愛い。特に大介がいい。
風太が書いている小説の登場人物・少年探偵WHOはかっこいいし、ネコイラズくんは可愛らしい。
好きな絵柄で、さらにさっき書いたように五感を刺激される描写が満載なので、もう寝なくちゃいけなかったのにいつまでもダラダラと読み返してしまった。


これはぜひとも小説の方も読まなければいけない。
武本さんの他の漫画も読んでみたいけど、今のところ出てるのはこれだけなのかなぁ。


あ、それから犬のポチもたいそう可愛らしく描いてあったので、次回は「ひとりぼっちのロビンフッド」をぜひ漫画化してほしいと思った。
まぁ、百パーセント無理だろうけど…
しょうがないので自分で勝手に妄想してよう。
武本絵のテツを…(ニヤニヤ)


※小説版の感想はこちら
※「ひとりぼっちのロビンフッド」の感想はこちら


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