ささやかで幸福な ~伊坂幸太郎「フィッシュストーリー」

フィッシュストーリー

今回は短編集。
連作短編集は他にもあるけど、純粋にひとつひとつの話が独立した短編集は、今回が初めてだ。
まあ、伊坂小説はどの作品も互いに少しずつリンクしているから、完全に独立しているわけでもないのだけれど。


「フィッシュストーリー」とは、ホラ話、作り話という意味だそうだ。
じゃあ、伊坂さんの小説は全部これに当てはまるな。
壮大なホラ話。
「そんなことってあり?」「でも、ほんとにあったらすげえな」みたいな。
「ウソから出たマコト」的な、ささやかだけど幸福な奇跡に、いつもニヤリとさせられるのです。


この本に収録されている4作品には、すべてそんな仕掛けが用意されている。
ひとつひとつは短いし、黒澤さん的にいえば「だから?」って感じのお話なのだけど、読み終わると後に残るのはやっぱり、ささやかで幸福な満足感。
「なんか、いいもの見たな」という、ふくふくとした気持ちである。


ラストの話「ポテチ」に登場するカップルが、何か良かった。
今村はチャーミングで愛しいし、大西は男前で素敵。
伊坂さんの書く、男前な女性キャラクターが好きだ。
今村とその親分は、「ラッシュライフ」にも出てきてたらしい。
もう忘れちゃってるな。そのうち読み返そうっと。


そして、いろんな作品に登場する、泥棒(本業)で探偵(副業)な黒澤さん。
ずいぶん読者に人気あるみたいだけど、納得!
ほんとにもう格好いいなぁこの人は。
「サクリファイス」での、唄子おばあちゃんとのかけあいが良かった。


伊坂さんて今、モーニングで小説連載してるんだよな。
面白いことやってらっしゃるなぁ。
気になるけど、途中から読むのも何だから、単行本化するまでガマン!
そして、「アヒルと鴨のコインロッカー」の劇場公開が楽しみすぎてしょうがない。


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