いつも心に「ドラことば」

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本屋で何度立ち読みしたかわからない、よっぽど買おうかと思い続けてきたけど、まあ図書館にもあるので、とりあえず借りてきた。
「ドラことば」とは、ドラえもんのコミックスを読み終えたとき、あなたの心に残っているセリフのこと、らしい。


そんなもの、いっぱいありますよ。
「だれが、のびちゃんのいうこと、うたがうものですか」から「いつかえさなかった!? えいきゅうにかりておくだけだぞ」まで、涙なしには読めないものから、あきれるのを通り越して尊敬するようなものまで、いっぱい載ってます、ドラことば。
うちの家にはドラえもん、所々の巻しかなかったから、ここに載っている言葉すべてを知っているはずもないのだけれど、何故かどれもこれも知っていたような気になる。
何でだろう…。


ドラえもん好きとして知られる辻村深月がコラムを寄稿しているのが個人的にうれしかった。
辻村ファンとしてはこれは読まなければ。また泣かせるんだこれ…。
あと、「のびたの結婚前夜」のしずちゃんとしずパパのシーンがバッチリ収録されていて、泣く。
「最初のおくり物はきみがうまれてきてくれたことだ。」なんて…なかなか言えないよ、特に日本人は…。
しずパパは素敵な人だ。


せっかくなので、この本で紹介されていないドラことばについて語ろうと思う。
てんとう虫コミックス7巻の最初に載っている、未来へ帰ってしまったドラえもんが帰ってくる話。
いったんは連載が終了したものの、読者の熱いコールによってふたたび連載が再開されたときの、第一話目だ。


その話の終盤で、「ウソエイトオーオー」(これを飲んでしゃべったことは全て嘘になる)というひみつ道具を飲んだのび太は、「ドラえもんはもう帰って来ないんだから。もう会えないんだから」とつぶやく。
意図があったわけではなく、寂しくて空っぽになってしまった自分に言い聞かせるようにしてもらした言葉だった。
そして、のび太にとっては予想外に、読者にとっては予想どおりに、ドラえもんは「急に戻ってきてもいいことになった」といって、喜びの表情で未来から帰ってくるのである。
事態が飲み込めたのび太は、ドラえもんと抱き合って大喜びしながら、こう言う。


「うれしくない。これからもずうっと、ドラえもんと一緒に暮らさない。」
※うろ覚えです


もちろん、これは本心じゃない。
「ウソエイトオーオー」の効果はまだ残っているだろうから、のび太は全く逆のことを言ったのだ。
ここで単純に、「うれしい。これからもずっと一緒に暮らそう」と言っていたら、のび太のうれしい気持ちはこんなにも伝わってこなかったと思う。
正反対の言葉の裏側にある本心が、小さい読者にもしっかりわかるように描かれている。
藤子F先生は粋な演出をするもんだなぁと、今でも心に残っています。


返却期限がきたので図書館に返したら、何だかさびしくなってしまった。
そのうち買ってしまいそうな気がする。

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この記事へのコメント

  • 透析鉄

    私はドラえもんの単行本は、年代的にリアルタイムに読んでいました。単行本6・7巻のところは、私も本当に好きです。
    個人的にはアンサイクロペディア掲載の「栗まんじゅう問題」も非常に好きなので、三森さんにもぜひ参照していただきたいのですが……(笑)。
    のび太くんの祖母が回想で出てくるところも好きでした。
    あとは動物ものですかね、ニホンオオカミの話やネッシーや、上野動物園で実際は餓死させられたゾウの話(ドラえもん本編ではもちろん異なる話になっています)や、捨てられた犬たちの国をドラえもんとのび太くんがつくる話とか……。
    大学生の頃、藤子先生(当時はまだF付きではなかった)のSF全短編集を読みましたが、これもものすごく良かったです。当時は中央公論社から出版されていました。
    2012年02月26日 18:05
  • てって

    ドラえもん、大好きです。
    今でも印象に残っているのは七夕にのび太が釣竿から垂らしていた短冊の言葉。

    「りこうになりたい」

    巷でよく言われる「頭がいい」という表現ではなく、「りこう」という言葉を選んだF先生の意図は分かりませんが、大人になって、つくづく「りこうになりたい」と感じます…(頭が良くなりたいではなく)。

    そして、もう1つは
    「おしょうさんはなれててくだちいな。これから真っ赤な皿が…」
    シナリオライターで、のび太の誤字脚本により、意味不明の台詞となったという場面です。

    正しくは「お嬢さん離れていて下さいな。これから真っ赤な血が…」となるはず。

    こんなエッセンスが大好きです♪
    でも、大全集は高い上に、量が半端無くて買えません(T_T)
    2012年02月28日 20:54
  • 三森紘子

    透析鉄さんへ

    こんな昔の記事にコメントありがとうございます!
    6・7巻あたり、いいですよね。名作中の名作です。
    『アンサイクロペディア掲載の「栗まんじゅう問題」』も、気になったので覗いてきちゃいました。ほとんど飛ばし読みしましたが…(笑)色んな人に愛されているのが「ドラえもん」なんだなあと楽しい気持ちになりましたよ^^

    >のび太くんの祖母が回想で出てくるところも好きでした。
    >あとは動物ものですかね

    そうですねえ、あれもこれもと好きなエピソードがたくさん出てきます。
    もう一度読み返したいですね~…
    藤子先生のSFは私もいくつか読みました。ブラックだったりシニカルだったりする話もあって、シビレました^^
    2012年02月28日 21:27
  • 三森紘子

    てってさんへ

    コメントありがとうございます!
    「りこう」、いい言葉ですよね! 「頭がいい」とは違い、清濁併せ持っているところがいいと思います。私もりこうになりたいなあ(笑)

    >「おしょうさんはなれててくだちいな。これから真っ赤な皿が…」

    これ覚えてますー!(笑)なつかしいー^^
    あと、手紙を書いて封をしたあとに、署名を「のび太」じゃなくて「のび犬」と書いたかもしれないといってあたふたする話もありましたよね。
    結局両方の位置に点が書かれていたので「まあいいか」となったような覚えがw

    大全集、本当にほしいですけど、お値段も量も手が出ない領域ですよねえ…
    ああ、予算が潤沢な個人図書館がほしいです(笑)
    2012年02月28日 21:38

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