ノスタルジック夏期休暇 ~西炯子「STAY ああ 今年の夏も何もなかったわ」

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気にいるとその作家さんの著作を集めてしまう傾向にあります。
「ひらひらひゅ~ん」が面白かったので、西さんを最近気にしている。
割合たくさんの著作があるので、いきなり全部集めるわけにはいかないけど、ちょっとずつ攻めていこうかなーと思う。
その中で、映画化するらしいというのと、長く続いてるシリーズ物の一作目ということで、「STAY ああ 今年の夏も何もなかったわ」を読んでみました。


何だこのタイトル。私が毎年思ってたことじゃないか。
夏に何かあったことなんてないんですけど…
大体なんで夏になると「ひと夏のアバンチュール(古い)」的な風潮になるんだろう?
おとなになると夏休みなんてほとんどなくなるし、学校通ってたら通ってたで、ラジオ体操やプールや部活や補習や予備校があったからなぁ。
あと宿題も。夏って結構多忙だよ。


などと負け惜しみを言うのはこのぐらいにして、今作品は高校の演劇部に所属する五人の女の子を主人公にしたオムニバス集です。
いくら「何もなかった」といっても本当に何もなかったわけはなく、五人ともそれぞれの夏の出来事を経験している。
それが、絵にかいたような「ひと夏のアバンチュール(だから古い)」ではなかったというだけで。


玉井さんの話が好きだった。
女の子らしい内面とは裏腹に、背が高く凛々しく、女子から「玉井クン」と呼ばれキャーキャー言われている玉井さん。
可憐な容貌の女の子に「玉井さんが彼氏だったらいいだろうな」と想いを寄せられ、そのことにとても傷つく。
そんな彼女が最後にああいう形でみんなにお別れを言うことができたのは、きっと刈川さんのイキな計らいのおかげなんだろうな。
刈川さん素敵だ。


みちると佐藤くんの行く先も気になる。
この二人はくっつくのか、どうなのか。
「自作のエロ小説を深夜ベッドでほそぼそと」読んでるみちるさん、カミングアウトしちゃうのがスゴイです…
ゲジ眉メガネのプレイボーイ、佐藤君のビジュアルがいい味出してます。
西さんの描く男子高生は、制服のズボンの裾が短いのがいい。
長すぎず短すぎない、女子のスカートもいい。


あと、彼女らは演劇部なんだけど、ときどきコマの端っこに吹奏楽部のパート練習の風景が描かれているのを見て、すごく懐かしい気持ちになった。
私もやってたなぁ。楽器ごとに、階段の踊り場や中庭に分かれてピープー鳴らしていたなぁ。
田園風景といい、小川といい、高校生御用達の駄菓子屋といい、精米機といい、ノスタルジーを刺激される物たちが随所にちりばめられている。
海もよく出てくるなぁ。ってまだ2作しか読んでないけど。
西さんの原風景なんだろうか。


どのお話も、通り過ぎていく青春時代の一部を切り取ってみせたという感じ。
これはこれで味わい深い仕上がりになっているけど、やっぱり続きを知りたいなぁと思っちゃいます。
だからこれはやっぱり、シリーズ全部読むしかないか。


どんな映画になるんだろう。
やっぱオムニバス形式? それとも、どれかの話を膨らませるのかな?


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