ラストシーンはおあずけ ~金城一紀「映画篇」

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図書館の返却期限が迫ってるので、これもさっさと更新しちゃいます。


久しぶりに金城一紀の小説を読みました。
これは、タイトルのとおり映画にまつわる話を集めた短編集。
それぞれのお話は独立しているけれど、区民会館で上映される「ローマの休日」という映画を軸に、ゆるやかにつながっている。


評判がいいだけあって、あふれる金城テイストを楽しみながら読み進めたけど、「GO」やゾンビーズシリーズにはかなわないかな~という感じだった、途中までは。
中盤までは「面白い(それなりに)」だったのが、最後の短編「愛の泉」を読んだあとには「面白い!(ものすごく)」になっていた。


おじいちゃんが亡くなって元気をなくしたおばあちゃんのために、二人の思い出の映画「ローマの休日」を大スクリーンで上映しようと、孫たちが計画を立てるお話。
孫の一人である大学二年の主人公の語り口がちょっとバカっぽい、愛すべき家族の物語。
私は「フライ、ダディ、フライ」や「SPEED」のように、何かの目的のためにがんばる話がどうやら好きなようです。


主人公とイトコのかおるは、とにかく馬が合わなくて仲が悪いのだけど(でもそれもメールで「うんこ」「死ね」とやりあうような、じゃれあってる風にしか見えない仲の悪さなのだけど)、その割にかおるは電話をかけたいときは前もって「電話していいか」とメールしてくるようなデリケートな人間だったりして、そういうエピソード一つとっても、なんて愛しい可愛い一族なんだろうと、ニコニコ笑いが止まらないのです。


本当のラストシーンはこれから。物語はひとまず終わるけど、まだ終わらない。


惜しむらくは、ここに登場する映画作品のほとんどを観たことがないということだ。
かろうじて観たと言えるのは「ローマの休日」ぐらいかな…?
真実の口のシーンや、最後の記者会見でアン王女が「ローマです」と答えるところなどが話の中に出てきて、それを観ている人と一緒になって笑ったり泣いたりすることができたので、他の映画も、知っていたらもっと感情移入して読むことができたかもしれないなと思った。


「ドラゴン怒りの鉄拳」の鳴海も好きだし、「ペイルライダー」のローライダーに乗ったおばちゃんもものすごく愛しい。


映画好きの人ならもっと楽しめそう、映画好きじゃなくても楽しめる、そして出てくる映画を観てみたくなる小説だと思います。
物語に登場するすべての人に祝福が訪れますように。
そんな気持ちになる小説でした。


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