奇跡の物語 ~古屋兎丸「Marieの奏でる音楽」上下巻

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実家にいた三が日の間に、確実に顔の線が丸くなったような気がします。
食べてばっかりで空腹を感じることがなかったもんな。申し訳ございません。来週からは粗食につとめ、馬車馬のように働こうと思います。


それはさておき、前に書いた通り実家の本棚を掘り返し、「Marieの奏でる音楽」を改めて読んだので感想を書きます。


この漫画を買ったのは大学生のときです。毎日のように通っていたヴィレッジ○ンガードでまず上巻を購入しました。
読んだあとすぐに弟にも読ませたところ、「続きが読みたい」と言いましたが、言われるまでもなく次の日に下巻を買うことに決めました。
そして次の日さっそく下巻を買ったのですが、その日は忙しく読む時間があまりとれなかったので、後日ゆっくり読もうと思ってとっておきました。
弟が「早く続きが知りたいから、先に読んでもいいか」と聞いてきましたが、心の狭い私は「私が買ったんだから私より前に読むことは許さん。代金を貴様が払うというのならやぶさかではないが」と答えました。
そんな思い出の(どんな思い出だ)残る作品です。


つまりそれほどまでに面白かった、ということを伝えたかったわけです。
というわけなので、これから読もうと思っている方には上下巻同時の購入をおすすめします。
ここまで高い完成度を誇る漫画はなかなかないと思う。
圧倒的な画力と、物語構成力のすごさ。


「マリィ」という存在への信仰を持つ世界での物語。
カイやピピたちが暮らすピリトの地では、マリィは女神の姿をしている。
カイは、そのマリィの姿を見ることのできる唯一の少年。
マリィから聞こえてくる音楽が、みんなの心を穏やかにさせ、この世界を平和にしていることにカイは気づく。


ガウディの建造物のような曲線で構成された町並みは、隅々まで細かく描きこまれていて、眺めるだけでも楽しい。
工房で作られる機械や、マリィや三賢者の造形も素敵。
カイの行った選択については、深く考えさせられる。
50年に一度、選ばれた「しるしを持つ者」に課せられた役目。
繰り返し繰り返し、問われ続けなければならないことなんだろう。


そして、終盤になってカラクリが明かされたときの驚きは大きかった。
何度も何度も始めから読み返してしまった。
一冊1200円くらいしてちょっとお高めだけど、それ以上の価値のある作品。


上下巻の表紙を横に並べると現れる一枚の絵。見るたび心が震えます。
プロポーズの道具である卵を、生涯カイに対して贈り続けたピピ。
そして、表紙のカイは確かにそれを受け取ろうと手をのばしているのです。
作中で登場人物の一人が言っているように、奇跡のような愛の物語だと思う。
時々、思い出したように読み返したい物語です。



古屋兎丸氏の漫画はところどころしか読んだことがないけど、今エロティクスエフで連載してる少年なんたらというやつが気になる。コミックスが出たら買うつもりです。
古屋氏の描く少年は何だか妙にそそるものがありますね。
あの色気は何なんでしょうか。


この記事へのコメント

  • 赤魚

    こんにちは☆

    古屋先生の漫画は、どれも大好きで読んでいるのですが Marieの奏でる音楽は未読でした!
    紘子さんのレビューをみて一刻も早く読まねば!という気持ちになりました!

    古屋先生のブログが、結構おもしろくて私は頻繁にチェックしてます。

    それでは☆今年もよろしくお願いします!!
    2008年01月06日 16:27
  • 三森紘子

    赤魚さんへ

    コメントありがとうございます☆今年もよろしくお願いいたします!

    古屋兎丸お好きなら、これはぜひ読まれるといいと思います!
    私も赤魚さんのブログで以前紹介されていたライチ☆光クラブがずっと気になっているのですが、グロがひどかったらどうしようと思ってず~~っと足踏みしています…でも読んでみたい…
    古屋先生のブログ、チェックしてみますね~^^
    2008年01月06日 19:59
  • 私も古屋兎丸さんの漫画が好きで読んでるんですけど、
    どうも実験的な作品が多くて「正直微妙」という作品も多いなと感じてるんです。

    絵は上手なんだろうけど、ストーリーが…
    どのサイト見てもこの作品に関しては「感動」という声を聞くのですが
    私にはちょっと良く分かりませんでした。
    カイのあの選択は「禁断の果実を食べるよりもユートピアにいたい」ってことですよね?
    あまり突っ込んだ感想を聞いたことがないので教えてくださればありがたいです
    2009年04月05日 07:54
  • 三森紘子

    桃さんへ

    初めまして、コメントありがとうございます!
    今現在、手元に本がない状態なので、読み返して内容を思い出してからお返事をすることができず申し訳ないのですが…
    「Marieの奏でる音楽」に対する私の感想も、要約するとやっぱり「感動」という一言になるような気がします。
    架空の世界がしっかり出来上がっていることや、物語が最初から最後まで考え抜かれていることについては本当にすごいと思いますし、ピピのあまりにも不器用でまっすぐな愛情には胸打たれるものがありました。

    でも、そのあたりは読む人それぞれに感じ方があるのでしょうね。私は実は古屋さんの作品をそれほど多く読んでいるわけではないので、偉そうなことを言えないのですが…(^^;
    桃さんのお勧め作品があれば、ぜひ教えていただきたいです。

    >カイのあの選択は「禁断の果実を食べるよりもユートピアにいたい」ってことですよね?

    そういうことなんでしょうね。私も、カイの選択には「おおっ」となりました。正直予想外でした。
    あの選択を責めることはできないし、かといって手放しで賛同することもできないし、簡単に答えが出るものではないのでしょうが、古屋さんご自身が出された一つの答えを、この作品を通して描かれたのかなと思いました。

    うう…全然「突っ込んだ感想」にならなくてすいません…。また読み返して考えてみますね。きっかけをありがとうございました。
    2009年04月05日 16:14

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