人生は楽しんだもん勝ち ~宮本福助「この度は御愁傷様です」



宣言通り、買いました。
すごい面白かった~! これ好き!


「遺産分配はダーツで決めろ」
「楽しめよ」

そう言い遺して逝った、坂上徳造・享年七十八歳。
残された三人の子どもと孫一人は、破天荒だった彼の遺言に振り回されてんてこ舞い。
死んでからも彼の生家には、友人・知人・愛人・隠し子、ヤクザに社長に元プロ野球選手と千客万来で、ひと波乱、ふた波乱どころの騒ぎじゃありません!


とにかく一冊まるまる笑い続けました。
ずっと声を出してあっはっは! って感じではないんだけど(そういう場面も何個もあったけど)、ずーっと楽しい。すごく楽しい。
それはきっとここに登場する人々がみんな元気だからなんだろうなぁー。


ほんと元気! 平均年齢がやたら高いのにもかかわらず元気。
その筆頭は徳造じいちゃんのお父さん(!)で、御年百歳にしてテンガロンハットを粋にかぶって外国人美女を侍らしているというパワフルさ!
その他にも、七十八歳で140キロの球が投げられる野球選手がいたり、いい年した大人集団が本気で雪合戦を始めたり、いい年した大人集団が埋蔵金を掘り起こそうと躍起になったり、いい年した(以下略)


三郎さんがダンプに跳ねられそうになった珠世さんを助けようとダイブする場面は、大笑いしながらも三郎さん(80)の輝く笑顔にドキッとしてしまった!(笑)
二人の間に恋が芽生えたのもある意味、納得。吊り橋効果もありそうですし。
若者の仁君より素早く飛び出すなんて、珠世さんによっぽど惚れちゃったのね三郎さん~。
三郎さんはその後にも、仁君の打った球をスライディングキャッチしたりと、非常にアクティブなご老人で好きです。


私はお年寄りが元気な話が好きみたい。
こっちも元気になるから。安心するから。
こんなふうに歳を取りたいなぁ~と思えるから。
安心して楽しい老後を送るためにも、今から貯金しておかなければ! という結論に至りました。やっぱり、お金は大事(笑)。
そう思うと、徳造じいちゃんの遺産(一億)に目の色を変える皆さんを笑う気にはなれないな!
いつまで生きられるかはわかりませんが、備えあれば憂いなしだし。


人が死ぬと残された人は悲しむし、どれだけの人が悲しんだかで、その人がどれだけ愛されていたかがわかるのも事実です。
けど、残された人に悲しむヒマも与えないほどたくさんの爆弾をこの世に残していった徳造じいちゃんは、周りから愛される以上にもっとずっと、周りの人を愛していたのかもしれない。
じいちゃんが残した諸々の爆弾は、「楽しめよ」というメッセージ付きの愛情だったんじゃないかなぁと思いました。
まあ三兄弟にしてみれば「そんな愛情いるか!!」って感じだろうけど(笑)
何しろ、遺産分配のダーツの的の大半は「タワシ」なんだもんね(笑)どこのフ○ンドパークですか…。


色々笑う箇所があったんですが厳選しますと

・ダーツが弁護士先生のメガネのフレーム中央に直撃
・ヤクザが押入れを開けると中にはぷるぷる震える弁護士先生がちんまり座って「入ってますよ」(→静かに戸を閉めるヤクザ)
・坂上三兄弟のババ抜き対決
・うっかりが重なって徳造家炎上(「火事だー!!」と逃げ惑う老人たち・金田さんはさすがに速い・笑)

笑わせていただきました。
ギャグ調にディフォルメされず丁寧に描き込まれてるから、余計笑える。
あと、本作に登場する唯一(?)の若人、仁君はカッコイイと思います。スマート。この祖父にしてこの子あり。


一巻ものとは思えない内容の濃さで、本当に楽しかったので、同じ著者の「拝み屋横丁顛末記」も俄然当然読みたくなってきました!
って、そんなことばかり言ってるので、「読みたい本リスト」はどんどん増えていくのにぜんぜん消化できてない! あれもこれも…はぁぁ~。


そんなこんなで、とってもオススメな作品です!


この記事へのコメント


この記事へのトラックバック