”求める心”あるいは”きみを待ってる” ~杉本亜未「ファンタジウム」3巻



記事タイトルに引用したのは「花忍」、英名”Jacob's Ladder(天使の梯子)”という花の花言葉だそうです。


マジックに魅せられた人々を描きながら、もっとも普遍的な「生きること」について描かれた作品だと思う。
深くて大きくて、すぐには推し測れない。
作中に出てきた「最後のユニコーン」という本を、「一回だけ読んで終わっちゃダメだよそれ!」と良が評しているけれど、まさにこの「ファンタジウム」もそういう作品だなー。
何度も読みたい。何か大きな出来事が人生の中で起こる度、読み返してその時にしか感じられないことを感じたい。


「泣かないと強いの? 泣かないと平気に見える?」
「長い間 どうにもならないことが続くとね 涙なんか出ないもんだよ」

そんな台詞をサラッと言ってしまえる良。平気な顔をしている人が、本当に平気だとは限らない。
良はけしてうわべ通りの強さを持った子ではないけれど、じゃあ弱いのかと訊かれると、やっぱり「良君は強い」と私は思う。
信じるものをずっと信じ続けていく力を持っているから。


マジックとは、繋がっては離れ、離れてはまた繋がって連鎖していくリングのように、いっとき交わって心を通わす手段。
龍五郎じいちゃんと良、良と北條を出会わせてくれたもの。泣いている人を笑顔にすることのできる魔法。
ショーの後、帰りの車中で良が北條に「俺 生まれてきてよかった……」とつぶやくシーンには、心を静かに、でも大きく動かされる。


人生で必要な物とは何か。
「ファンタジウム」を読みながら、私も一緒に考えていきたいと思います。


それにしても今回の表紙、すごいかわいい!
白地に淡いピンク&紫の差し色が綺麗です。1~3巻のなかで一番好き。かわいい。
裏表紙の「ソシオちゃん」もかわいい(笑) なんか表紙の良を見守ってるみたいな構図で(笑)


山口百恵似の山口さん(笑)が着てた、トランプ柄の浴衣もすっごくかわいい!
これに出てくる女性キャラはみんなかわいいなぁと思っていつも見てるんだけど、山口さんみたいに中性的な女の人もすごく素敵。
あと、おっさんキャラのバリエーションが豊富なことも密かに気に入ってるのですが(笑)、特に最後のほうに出てきた成田課長がなぜかとても気になりました。身長コンプレックスで学歴コンプレックスの成田課長(笑)



1巻の感想はこちら
2巻の感想はこちら


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