セリンフィルドで待っている ~駒崎優「故郷に降る雨の声」上下巻



表紙、2冊で一枚の絵になるんですねー…壮観。


「バンダル・アード=ケナード」シリーズの3作目。
1作目「運命は剣を差し出す」の表紙を一目見て「なんっっっじゃこれ!!」と惚れ込み、買い始めたシリーズです。
大国どうしが争いを続ける架空の世界を舞台に、雇われ傭兵部隊のバンダル・アード=ケナードが活躍するお話。


作者ご自身も「むさ苦しい」とか「おっさんまみれ」とかさんざん仰ってますが、確かに男性比率も平均年齢も高め。
戦場に身を置く傭兵たちが主人公だから、いつも戦ったり野営したり追われて逃げたり、そうでなかったら仕事にあぶれて町でくすぶってたり。
改めて内容を思い起こしてみると暗い…暗いです。でも、面白い。面白いんです!
世界観が骨太で、しっかりしている。ゆっくりと着実に重ねられたエピソード、それゆえに得られる深い満足感。
そういう作品が多い気がするので、このレーベル(C★NOVELS)はわりと無条件に信頼しております。


登場人物のなかではダルウィンが好き。シャリースもさすが主人公だけあって恰好良い。
そしてやっぱりマドゥ=アリは好き。作者さんのご贔屓キャラでもある気がする。奴隷の証である刺青を顔に彫られた彼のために、シャリースが全員の隊服に同じ模様の刺繍を入れさせるところとか、泣けました。
あとはいつ如何なる時も食い意地が張っているチェイスには和む。唯一のメイン女キャラ(ただし狼・笑)のエルディルも誇り高いところが好き。
それに、一介の医者と思いきやすげえ肩書きを持ってるヴァルベイドも好き! って、この調子でいったら全員になるよ…


そんな「バンダル~」シリーズの世界をさらに魅力的なものにしているのが、挿画担当・ひたきさんの素敵なイラストです。
挿画でありつつ、一枚の作品として完成度が高い。こういう絵が添えられた小説はそれだけでも読むのが楽しいです。
さらに「なぜよりによってそいつを被写体に選んだ!?」というチョイスがすごくいいです。ディーローがピンで描かれるとは思わんかったよ…。駒崎さんもおっさんが好きなようですが、ひたきさんもおっさんが好きなんですかね(笑)
その中では最早異色ともいえる華奢な少年(パージ)のイラストは、一際輝きを放ってキラキラしてた(笑)いやーとんでもなくかわいかった。


いつ命を落としてもおかしくない傭兵稼業。今回で、バンダル・アード=ケナードにとって非常に大きな存在だった一人がとうとう死地へと旅立ってしまいます。
死ぬと魂は故郷に帰ると考えられている。そのうち引退して故郷で暮らすと口ぐせのように言いながら、遂に戦地でその生涯を終えた彼の魂は、今頃故郷で眠っているんだろうか。かけがえのない友と、いつかまた酒を酌み交わすときを待ちながら。
故郷に降る雨は、シャリースの涙を優しく隠してくれたのかもしれない。


悲しみに暮れながらのラストでした…。続きは近々読めるんだろうか。また彼らに会えるだろうか。楽しみです。


せっかくなので既刊の表紙も。うーん、やっぱりこの絵好き(笑)。

運命は剣を差し出す―バンダル・アード=ケナード〈1〉 (C・NOVELSファンタジア)

運命は剣を差し出す〈2〉バンダル・アード=ケナード (C・NOVELSファンタジア)

運命は剣を差し出す―バンダル・アード=ケナード〈3〉 (C・NOVELSファンタジア)

あの花に手が届けば―バンダル・アード=ケナード (C・NOVELSファンタジア)


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