いいえ これは反抗なんです ~天乃タカ「王子とやもり~執事革命~」1巻



「本の元の穴の中」の天乃タカさんの新作なので買いました。
なんか…なんか…買うのちょっと恥ずかしかったんだけど…
きっと帯のせい!「お前の衣・食・住全部オレが守ってやるよ(ハートマーク)」(ハートマーク)のせいだ!
ハートマークって…この台詞自体は確かに出てくるけど、ハートつけるとニュアンスがだいぶ違ってきやしないか…


「ヴィレ」と「メルト」という二つの民族が住む架空の国。
ヴィレは「重労働階級」としてメルトから見下される立場にあり、両者の関係はけして良くはない。
その両者を結ぶ橋渡しをするために設立されたのが「家守(やもり)協会」。
身の回りの世話だけでなく、家事も護衛も、主人の衣食住すべてを守るのが家守の仕事である。
ヴィレとメルト両方の血を引く家守見習いのトトの出自に王族も関わってきて、話はどうやらきな臭いほうへ進みそう。


「執事ではできないことを家守がやろう!」という意味でのサブタイトルの「執事革命」なんだろうけど、これ必要かなあ? だって結局執事じゃないんでしょ?
タイトルで誤解されそうな気がするんだけどなあ。それとも「誤解大いに結構」の意図なんでしょうか。


表紙に並ぶ二人(トトと王子)が、もしや異母兄弟なのでは!? という疑惑を生みつつ詳細は次の巻へ持ち越し。
そもそも王子は1巻にはほとんど出番がありませんからね…最後にチラッと出てきただけ。
トトの頑なな部分も、なんでそういう性格なのかはなんとなくわかるものの詳しい事情はまだ明かされず。
というわけで作品の本筋についてはこの時点では何とも言えない感じ。


なので、1巻はとにかく家守のビットとミザリア公女との初々しいロマンスにきゅんとしていました。
ビットはすごくいいなぁ! 日なたのにおいのする真っ当さがいい。そうか初恋だったのか!(笑)
「オレはミーの笑顔好きだ!! きっと国一番のいい笑顔だ!!」とてらいもなく言えちゃうビットの素直さも、「明日のパレードはあなたのために笑うわ! 見ていてね!」と指きりをしたミザリアの笑顔も、とっても良かったです。
抱きつくんじゃなくて、背中にぎゅっと身を寄せるだけの奥ゆかしさがたまらんなぁ。
一番いいなぁと思ったキャラクターはビットでした。でも、オムレツしか作れない31歳(笑)のルーもいい味出してて好き。


トトの見習い先、領主の坊ちゃんシンシーが言った「いいえ これは反抗なんです」という言葉が、なかなかのキーポイントだったのではと思いました。
トトが家守という仕事に意義を見出すきっかけになった言葉でもあるし。


素朴な線の絵柄、「もとあな」のような和風ファンタジーにはすごく合っていたと思うんだけど、今回みたいな洋風ファンタジーにはどうなのかな…。
もう少し背景や建物に凝ったほうが、きらびやかさが出ていいような気もする。個人的には好きな絵なのですが。
それから、また子どもの描き方が微妙になってるような…
なんだか、子どもが「子どもという記号」でしかないように見えて、あんまりかわいくないんだ…(すいません)


いろいろ好き勝手言っちゃいましたが、2巻も期待して待ってます!
あ、タイトルロゴがすごくかわいいと思う。「王子とやもり」の「王」の部分に王冠が、「り」の部分にヤモリが、それぞれあしらってあって。



「本の元の穴の中」5巻の感想はこちら(←ここから1~4巻の感想にも飛べます)

ちなみに、これのすぐ前に「家守綺譚」を読んでいたのはたまたまです(あっちは「やもり」じゃなくて「いえもり」ですが)。


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