祭りとは始まる前から始まっている ~小田扉「前夜祭」



…表紙、すっごい地味!(笑)
本屋で見つけるのに苦労しました。
コミックスの表紙じゃないみたい。お堅い出版社から出てる名作全集普及版みたいな雰囲気の装丁です。
でも、これはこれでなかなかよい味が出てる。嫌いじゃないです。
購入時には黄色い帯がついていたけど、ないほうがいいなあ。


吉井さんは中野さんからの嫌がらせに困っている。それというのも、吉井さんは松井君(中野さんの片思いの相手)と仲がいいから。
ある日困っていた吉井さんに手を貸してくれた港さん。二人はその後仲良くなる。
中野さんと喧嘩中の添木さんは、中野さんの幸せのために暗躍するが、当の松井君が鈍感なためになかなかうまくいかない。
そんな折、彼らの通う中学の奇妙な文化祭=「泥祭り」の実行委員に選ばれた吉井さんたち。
昨年の委員長(=「泥王」)や、5年前の泥祭りの関係者も巻き込んで、夜の校舎での冒険が始まる。
果たして泥祭りは無事に開催されるのか?


「何かいろいろあって もう文化祭終わっちゃったみたいね」
吉井さんのこの言葉に尽きる。
結局文化祭前夜の時点で話は終わってしまうけど、もう、泥祭りが成功しようがしまいがどっちでもいいやって感じ。
イベントって、準備してる間のワクワク感のほうが楽しかったりするもんね。一度始まっちゃったら、終わるだけだけど。


扉漫画のこの、どこに行くのかわかんないところが大好き。
着地点とか何もかもわかんない。予想できない。


ところでこの作品は小田さんにとって、「前から描いてみたかった百合モノ」であるそうです。
扉版百合!? 一体どんな…!? と思って読んだのだけど、「そういわれればそう読めなくもない」という感じで、予想ほど百合色は強くなくてよかった。
これは吉井さんと港さん、中野さんと添木さんというカップリングになるのかしら。
基本的にはいつもの小田扉漫画です。


港さんが好き。このかっこよさ。迷いがないんだよな。自分を信じて疑わない。根拠のない自信。
中野さんも好き。思春期だからこその盲目さ加減が愛しい。松井はもうちょっと場の空気を読もう!(笑)


同時収録作品のなかでは、「山の雀場」「ワタ毛男」が特に好きでした。
「山の~」は結局リーゼントの男しか喋ってないところにぐっとくる!



作者さんつながりで
「マル被警察24時+」の感想はこちら


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