逢えたこと ~日明恩「ギフト」



とてもとても、読後感がいい。


死者の姿を見、声を聞くことのできる少年と、過去に縛られ、ただ生きることだけをしている元刑事の男。
二人は偶然行き合い、少年に触れることで男もまた死者を見ることができるようになる。
死んでもなお生きている人を案じてこの世に留まる人や、死んでもなお自分に嘘をつきながらどこへも行けない人。
彼らの声に耳を傾け、行動することで変わってゆく二人。


読んだあとに残るのは、「あなたに逢えてよかった」という、ストレートに言うのは照れ臭いような、だけどとても真摯な感謝の気持ち。少年は途中までしか言わなかったけどね。
「会えて」ではなく「逢えて」なところがロマンチック過剰な気もするけど、ここはやっぱり「逢えて」が正しいと思う。
望んで得られる出逢いではないのだし。
少年が自分の生を肯定できる日が、男が何の枷もなく笑える日が、この先ずっと続くことを願いたいです。


「ギフト」とは、少年が男にくれたものでも、男が少年にくれたものでもあるし、少年がもつ能力のことでもあるんだろうな。
能力がなければ苦しむこともなかったけれど、能力によって救われた人たちもまた存在しなかったんだもの。
同じタイトルの創作物がたくさんありそうな(キムタク主演のドラマもあったなぁ)ありふれたタイトル、でもこれ以外のものはないだろうというタイトルです。


表紙のイラストも、よく見るととてもいいよ。読み終わるとわかる小道具の意味とか。


ところで、作者名の「日明恩」をタチモリメグミとすぐに正しく読むのは絶対無理だと思う…だからなのか、背表紙の名にも表紙の名にもふりがながしっかり打ってあります。助かる(笑)
日明さんの作品は、「それでも、警官は微笑う」のシリーズなら読んだことがあります。
あれもすごく面白かった記憶があるので、他作品も探してみようっと。


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