深海は未知の世界 ~フランク・シェッツィング/北川和代・訳「深海のYrr(イール)」上・中・下



おおー、3冊並べると壮観!


完全に守備範囲外の小説です。
ハヤカワ文庫でSFでしかも翻訳! 手にとらないわー。本屋で見ても絶対手にとらないわー。
なのですが、これは弟が珍しく「面白い」と勧めてきたので、試しに借りてみたのでした。
上中下巻の3冊もの、しかも1冊あたり500ページ超という大作で、読む前は怖気づいたけれども、いやー結構一気読みに近いペースで読み切ってしまった。面白かったです。


しかしあらすじの説明をできる気がしないので(笑)、以下に各巻裏表紙の内容紹介を引用しておきます。

【上巻より】
ノルウェー海で発見された無数の異様な生物。海洋生物学者ヨハンソンの努力で、その生物が海底で新燃料メタンハイドレートの層を掘り続けていることが判明した。
カナダ西岸ではタグボートやホエールウォッチングの船をクジラやオルカの群れが襲い、生物学者アナワクが調査を始める。
さらに世界各地で猛毒のクラゲが出現、海難事故が続発し、フランスではロブスターに潜む病原体が猛威を振るう。母なる海に何が起きたのか?

【中巻より】
異変はさらに続いた。大規模な海底地滑りが発生、大津波が起きてヨーロッパ北部の都市は壊滅してしまう。
この未曾有の事態を収拾すべく、ついにアメリカが立ち上がった。
女性司令官ジューディス・リーのもとに、ヨハンソン、アナワクら優秀な科学者が世界中から集められ、異変の原因を探り始める。
だがその矢先、フランスを襲った病原体が奇怪なカニの大群によってアメリカの大都市に運びこまれ、パニックを引き起こした!

【下巻より】
科学者たちは異常な行動をとった海洋生物が共通の物質を持っていることを知る。
そしてヨハンソンは、一連の事態が起きた原因をようやく突き止めた。
その仮説を証明すべく、ヨハンソン、アナワク、リー司令官らはヘリ空母に乗りこみ、グリーンランド海に向かう。そこで彼らが目にした想像を絶する真実とは何か?
最新科学情報を駆使し、地球環境の破壊に警鐘を鳴らす――ドイツで記録的なベストセラーとなった驚異の小説。



地球科学やら海洋生物学やら遺伝子学やら地球外生命体についてやら、とにかく膨大なうんちくが出てきます。
そういうのに興味のある人はすごく楽しめそう、私は…正直流し読みした部分もあります(汗)
けどストーリーが引っ張っていってくれるから大丈夫でした。序盤のほう、世界中で何が起こっているのかまだわからない段階は読み進めるのがつらかったけれど、だんだん目が離せなくなった。


あと私は、海があまり好きではないので…というか、潜在的な恐怖を抱いているので、海からやってきた生物が脅威をばらまく!とか、津波が!とか、深海でサメに襲われる!とかそういう展開は怖すぎました。
特に深海に潜ったボアマンたちをシュモクザメが襲ってくるところ、ありえんくらい怖かった!! しかも普通のサメじゃなくて頭のいいサメなので、あの手この手を使って殺しにかかってくるんですよ。
私ならやられる前にショック死すると思う。想像しただけで貧血だ! まあ、何があってもそんなとこには絶対行かないけど!(笑)


レオン・アナワクが何だかとっても好きでした。相手役のカレン・ウィーヴァーも好き。
先住民についての知識が全然ないので、彼が抱えている問題を理解できていたわけではないけれど、頑なだった心が氷解していく過程はほんとによかったなあと思った。
友人(?)のジャック・グレイウォルフがマッチョ体型なので、アナワクも同じだと勝手に思っていたんだけど、どこか途中で「小柄」という描写が出てきたので、わあ!学者肌! とキュンとなってしまいました(笑)


グレイウォルフの「おれ」に対してアナワクの一人称は「ぼく」だったり。これは訳者さんの裁量なのかもしれないけど、キュンとなる(笑)
グレイウォルフとの関係は何なんだろうね、ぎこちなさすぎる、不器用すぎるだろ…。大の男どうしが、「さっきは言いすぎた」なんてあとで謝りに来たりするんですよ。不器用…!(キュン)
ほんとにもうね…最初のほうのアナワクはリシアに対する態度もひどくて「オイ!」と思ったけど。それがクライマックスに向けてドラマチックに響いてくるんだ。ああ…グレイウォルフ…


解説によると、ドイツ語版で、オーディオ・ブックというものが出ているそうです(日本でいうドラマCDみたいなものかな?)。
著者のシェッツィングさんも声の出演をされているのですが、役どころはなんと嫌われ者のヴァンダービルト! うわあ、それはおもしろい。ドイツ語がわかれば聴いてみたかった。
ハリウッド映画化も決定しているようで、ものすごくハリウッド向けな小説だと思うのでそれはよいと思います。
ただ、公開されても私は観に行かないだろうな。だって怖いから!(笑)


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