ハヤブサとなり虚空を飛ぶように ~上橋菜穂子「虚空の旅人」



「清い、輝く魂を身に秘めたままで、政(まつりごと)をおこなえる方がいることを、わたしは信じます」



うひゃあ! おもしろいいー! とんでもねえ!(頭の悪そうな感想で毎度ごめんなさい)
ついこのあいだ「夢の守り人」を一気読みしたばかりなのに、これもまた一気読みしてしまった!


十四歳になった皇太子チャグムが、異国の地で陰謀に巻き込まれるシリーズ第4弾。
今回はバルサたちは会話の中にしか出てこなくて、完全にチャグム(とシュガ)主体の物語となっています。
南の国・サンガル王国の新王即位の儀に招かれ、わずかな護衛とともにやってきたチャグムと星読博士のシュガ。
折しも〈ナユーグル・ライタの目〉と呼ばれる少女が現れた時であり、チャグムはその少女から、かつて体験したナユグの水の匂いをかぐ…


チャグムたちが「ナユグ」と呼ぶ異世界が、別の国ではまた別のものとして考えられている、というのがとっても興味深かった。
それから、サンガルでは権力者の妻が多大な力を持っている、というのも面白かったです。
カリーナの為政者ゆえの非情さと、情を捨てられないサリーナとの対比もよかった。間のロクサーナが目立ってこなかったのは残念ですが…。
ロタやカンバルなど、隣国の人々も登場してきました。カンバルの〈王の槍〉のカーム・ムサがかっこいい! ジグロの親族なんだっけ?


チャグムが、同い年のサンガル王国第二王子・タルサンと仲良くなれたのもうれしかった。
政治的なことを抜きにはできないお互いの立場ではあるけれど、せっかく育むことのできた友情が、この先失われることのないよう願います。
皇太子であることを手放しで受け入れることはできないチャグムに対し、タルサンは生まれたときからずっと「王子」なんですね。
兵士を率いて誇らしげに戦地へ赴くタルサン、でもチャグムは、自分は決してそんなふうにはなれないだろう、と思う。チャグムの背負うものの重さに圧倒される。


「そなたは、死にむかって落ちていきながら、わたしの手を離さなかった。あれは忠義などではなく、もっと別のものだった。……ありがとう」


そうチャグムに言われたシュガが、何もいえずにまばたきをするところが好き。
チャグムとシュガが二人で海を見ながら話すラストシーンは、ちょっとすごくて鳥肌がたちました。す・ご・い。
チャグムのゆく先を、何があっても見届けなければ!


新潮文庫版はまだここまでしか出てないみたいですが、待ち切れないので続きは図書館で借りてしまおうかしら。



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