エリンの物語 ~原作・上橋菜穂子/漫画・武本糸会「獣の奏者」1巻



原作は未読ですが、上橋さんの作品なら間違いないだろうし、何より武本さんの漫画だというだけで購入決定です。
ほんとうに魅力的な絵を描かれるんですよねえ。表情の豊かさ鮮やかさ、大好き。
今回の表紙も、青い背景と赤い衣装と、こちらを見据える緑の瞳が綺麗です。


母が指笛を吹いた時、彼女の運命が始まった――!
エリンは、獣ノ医術師である母・ソヨンと暮らす好奇心おう盛な十歳の少女。
だがある日、母が世話している戦闘用の獣・闘蛇が全て死んでしまった!
母はその責任を問われ、裁きにかけられることになるが――。
「精霊の守り人」などで知られる上橋菜穂子の原作を、武本糸会がコミカライズ!
手触りと、温かみのある極上ファンタジーがここに!!
(裏表紙紹介文より)



紹介文にもある「手触り」と「温かみ」、それこそが武本漫画の最大の魅力であると思う。
そしてそれは、上橋小説にも共通して言えることだと思うので、このお二方の組み合わせは最強なんじゃないかな? どなたの案なのかは存じませんが、グッジョブ!!と言いたいです(笑)
何度も抱きしめてくれた母のぬくもり、その母との別離による身がちぎれるような痛み。キラキラ輝く闘蛇のうろこの感触、精霊たちの神々しさ、猪肉や、「ファコ」というパンのような食べ物を口に運んだときのおいしさ。
体験していないのに、「それ」をありありと感じられるのは、作者さん自身が、「それ」を感じながら描いているからなんだろうな、きっと。


とりあえず一目見て、可愛らしいエリンのことが大好きになっちゃいました。
ジョウンも、初登場一コマめで「ああ好き」ってなりましたし。
エリンを見ていて、「ものを考える」ということを強く意識した。エリンがかつて見た闘蛇の飼育風景を思い出して、蜂の巣箱ににおいをつける理由を推測するところとか。
ああそうだった、と。物事ってそうやって考えるんだったんだ、と、なんというか改めて気づかされたな。


おかあさんを失って泣くエリンに、ジョウンは「思う存分泣きな」と声をかける。涙が流れ出たぶんだけ哀しみも減る、やがて忘れられるようになるからと。
けれど、それを聞いたエリンは必死で泣くまいとする。涙が流れきったらおかあさんを忘れてしまうの? おかあさんを忘れるなんて絶対にいやだ、と歯をくいしばって。
十歳の女の子が、だよ。このシーンを読んで、私は何ともいえない力強い気持ちになって、この先もエリンがただただ健やかに在るよう祈りながら、彼女の旅を見守っていこうと思ったのだった。


たぶん先に原作を読んじゃうと思いますけども…(2巻発売を待てずに)
漫画版の続きと併せて、まだ見ぬ物語に心躍らせています。



※作者さんつながりで

(武本さん)「ぼくと未来屋の夏」の感想はこちら
(上橋さん)「神の守り人〈帰還編〉」の感想はこちら


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