さらさら ~恩田陸「ブラザー・サン シスター・ムーン」



これで終わり? っていうのが読後の第一の感想でした。
なんというか、これから始まる物語のほんの序章という印象の話。
さらさらさらっと流れるように読めて、だからこそ心にひっかかるものもなく終わってしまったという感じ…


恩田陸の短編は、予告編のようだといつも思います。書かれなかった前後のことや裏のことを、読者に想像させてわくわくさせるのがお上手。
でも「ブラザー・サン シスター・ムーン」は長編。短編に比べて、書かれることはだんぜん多くなります(単純に量として)。そうなると、予告編的な切れ味や秘めた物語性が薄まっていくのは必然です。


とはいえ、予告編だけで長編一本書いちゃうくらいのこと、恩田さんならやりそうだけれど、どうやらそうでもないみたい。
この三人が再会することで、新しく話が始まっていくのかなーと期待したんだけど。
ラストの話で、映画「陽のあたる場所」の『私たちは、別れるために出会ったのね』という台詞を引用しているということは、三叉路で別れてしまった三人は、ふたたび交わることはきっとないんだろうな。
それがなんだか、ちょっと物足りなかったです。


恩田さんの語り口調って、基本的に好きなのだけど、今回はあまりハマらなかったなあ。ハマるともう、たまんないんですけどね。
本屋大賞をとった「夜のピクニック」が私にとってはイマイチだったように、作品の価値は絶対的なものじゃないので、こういうことがあるのはしょうがない。(ちなみに現時点でのマイベスト恩田陸は「木曜組曲」!)
新作の「訪問者」にとっても期待します。


ちらっと出てた、「谷内六郎の絵がすっごく怖い」というエピソードが気になった。
なんだろう、何か幼い頃の体験が原因なんだと思うけど。
私は谷内六郎大好きだけど、「怖い」というのもなんとなくわかる気がする。


この記事へのコメント

  • がれ

    遅ればせながらコメントを。
    そうなんですよ!今回のこの作品は、ものたりなく感じてしまいました。
    私のベストは「黒と茶の幻想」かなあ。「木曜組曲」も大好きです。映画見たいんですがなかなか見つかりません。
    2009年06月17日 20:52
  • 三森紘子

    がれさんへ

    コメントありがとうございます☆
    こんな感想を書いてしまって、文句が来たらどうしよう~とびくびくしていたので、同じように思われた方がいらっしゃってちょっと安心しました(笑)
    そうなんですよね~。好きだからこそ余計に期待が高くなっちゃうんですよね。

    「黒と茶の幻想」もいいですよね! 私も大好きです。
    映画版「木曜組曲」はかなりいい出来だったのではないかと思うので、がれさんにもぜひいつか観ていただきたいです^^
    2009年06月18日 00:32

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