彼女も、彼女も ~ヤマシタトモコ「HER」




 「もし年をとってひとりでどれぐらいさみしくても
 ジョーカーも引かないし一枚も捨てない」



ヤマシタトモコ新刊ラッシュな7月ですが、すぐに全部はとても買えないので、
・「ドントクライ、ガール」→なんとなくコメディの気分じゃない(内容をはっきり知ってるわけじゃないけど)
・「BUTTER!!!」→アフタヌーンで読んでるので急がなくてもいいや
という消去法で、まず「HER」を買いました。
(あ、BUTTERはまだ発売前ですね)



「彼女」達を主人公にしたオムニバス短編集。
主役が交代していくパターンがすっごいスキなんだ。スキスキ。
それだけでもう五割方好きになります。



ヤマシタ先生って靴がお好きなのかな、足元のアップのシーン多いし…と「Love,Hate,Love.」の頃から思ってたのですが、1話めからいきなり靴の好きな女の子の話でした。
私はヒールの高い靴が苦手でめったに履かないけど、かわいい靴を見るのはすごく好きなので、絵的にとても楽しかったです。表紙の彼女たちも。6話の彼女はぺたんこ靴なんだなー、とか。



モテたい選ばれたい愛されたい、でもそのためにしたくもないモテファッションなんて絶対しない、自分のしたいおしゃれをする、というスタンスでありながら、
職場の男の子に「こわい」と言われた後は、持ってる中で一番こわくなさそうな靴を選んで履いてくところが、たまらなくかわいいなと思いました。
男の子のほうも、彼女が好きでモテる靴なんて履いてほしくなくて「裸足です!」と言ったんだとしたら、超萌える…と思いました。



今自分の気持ちに一番近いかなあと思うのは2話の美容師さんでした。
だから最後にすれ違った白髪の女の人のような、ハッとする何かに出会ったときは、自分でもびっくりするほど気持ちが上を向く。



3話はすごく新鮮でした。
女子高生のように20歳過ぎたら人生終わり、とはもう思わないけど、歳を取ったレズビアンだってそりゃいるよねっていうことに、漫画とかで描かれないとなかなか気づけないんだな私は。



女の人が髪の毛振り乱してる絵が多いのがいいです。
みだれ髪が美しいのって何でなんでしょうね?
なりふりかまえなくて生の感情が噴出する瞬間だからなのかな。



まみが本間さんに本音をぶつけてしまうとき、震える手をぎゅっと握りしめていたところとかも好きでした。ちょっと愛しかった。愛しいと思って描いたんだろうなヤマシタ先生も。



私は女なので、完全に自分のこととして読んだけど(出てくる女の人全員に何かしら共感した)、
男の人はどういう気持ちでこれを読むんだろうか。6話の男性主人公みたいな視点?
男になったことがないのでほんとのほんとにはわからないんだけど。
先の5話にくらべて6話って格段にかわいい話じゃないですか、彼氏も彼女も。



巻末あとがきの各話ごとのBGMに、BONNIE PINKの名前があったのでおおっとうれしくなりました。久しぶりに聴こう。



ところで6話の二人、「ジュテーム、カフェ・ノワール」のカップルじゃない二人に似てるなあと思ったんだけど、
読み返してみたらやっぱ違うみたいだな。



「Love,Hate,Love.」の感想はこちら
「ジュテーム、カフェ・ノワール」の感想はこちら



この記事へのコメント

  • しんぺい

    ヤマシタトモコ先生、屈折の勝利!

    とか何とか書いてみたりして・・・。
    でも、過去10年間のがんばりが評価されて、
    「このマンガがすごい!2011 オンナ編」の一位・二位独占。

    屈折・・・というか、独創的なんですよね。
    どこかアウトローだったり少女趣味的だったり・・・。
    ということが下のサイトで詳しく書いてあって、なんだか納得。
    http://www.birthday-energy.co.jp/ido_syukusaijitu.htm

    感情の起伏が激しいのも、twitter見てるとそんな感じあるし。

    HERも読んでみます。bonnie pink好きな私としては、あとがきも
    楽しみだす。
    2010年12月31日 13:53
  • 三森紘子

    しんぺいさんへ

    コメントありがとうございます!

    2010年のヤマシタ先生の活躍はすごかったですよね~!
    「このマンガがすごい!」はまだ読めてないのですが、うわさだけは聞いています。
    普通なら気にとめず通り過ぎてしまうようなことを、作品の形にして昇華させてしまう手腕はすごいなあ…といつも思います。

    「HER」オススメですので、ぜひ読んでみてください。BONNIE PINKがお好きでしたらよけいに!(笑)
    2011年01月03日 21:17

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