アウト1つ ~寺嶋裕二「ダイヤのA」22巻




なんというか。この季節、この時期に読むのにピッタリの作品でしたね。(もう9月になっちゃったけど)
投手交代したあたりからずっと泣きどおしでした…
感想書こうとして読み返すたびに泣いてしまって、なっかなか書けませんでした…
漫画ってスゴイ。こんな紙切れの集合体のなかに、こんなにもスゴイものがつまっている。漫画って本当にスゴイ。



…うおお~~!!!
↓ネタバレご注意





 


甲子園まであと一勝、という西東京地区大会決勝戦がついに決着です。
9回裏、1点をリードした青道、マウンドを任された沢村は全身全霊で投げ続ける。
しかし、アウトあと1つ、打者あと1人のところで出た痛恨のデッドボール。
まだ1年生の沢村が、この大舞台にプレッシャーを感じていないわけはなかった。
これ以上は無理と判断した監督は、ピッチャー交代を決断する。



呆然と立ち尽くす沢村の肩に手を置き、こう御幸は言う。


「最後まで逃げずによく攻めたな マジで尊敬するぜ」


そして、代わってマウンドに上がる川上も、すれ違いざま沢村にこう囁く。


「俺も逃げねぇぞ お前のように攻めるからな…」



なんて格好いい先輩たちだ…
何よりも、先輩たちにこう言わしめたのは、他でもない沢村の頑張りがあったからこそ。
丹波の思いを沢村が受け継いだように、沢村の思いを今度は川上が受け継ぐ。
つながってるんだよ、沢村…! あんたが繋いだんだよ!
けれど、「ナイピッチ」と拍手で迎えてくれたクリス先輩の顔を、沢村は見ることができない。



稲実の雅さんの打席がものすごかった。
自分の手で勝利を決めたいと意気込む雅さん、そんな雅さんの気負いを見越したように、ネクストから「おいしいとこ俺にも残しといてよ!」と声をかける成宮。
その一言で力みが取れた雅さんが、川上の球をとらえる。
打球はピッチャー横を抜け、しかし春っちが捕り! 倉持が塁を踏んでアウト、と思いきやセーフ!? でもまだ終わりじゃない、「バックホーム!!」


…息止めて読んでました。
成宮の声かけがホントすごいと思った。一歩間違えば打者の集中を乱すことになりかねないタイミングだったのに。
お互いのことをよくわかっているバッテリー同士だからこそできたことなんじゃないだろうか。



俊足のカルロスがホームインし、なんとこの土壇場で同点に追い付かれてしまう青道。
皆が息をのんで凍りついてしまったとき、すぐさま「まだだぞ! 気持ちを切り替えろ!!」と叫んだ監督が素晴らしかった。
その一言で、落ち着きを取り戻す皆。
しかし、続く成宮の打球は外野を越える。
――9回裏、稲実、逆転勝利。



試合終了(ゲームセット)。
名門復活を懸けた夏。青道高校、予選敗退。
「夢の舞台まであとアウト1つ あとアウト1つ届きませんでした!」という実況の声がずんと胸に響く。
勝った者、負けた者、思い思いに感情をむき出しにする姿が途方もなく胸を突く。



…うわああ! 3年生のみんなの夏が、終わってしまった…!!
もう一緒に野球できない、一緒に勝利を目指せない…こんなに勝ちたがってた人たちが、もうそれを許されない…うわああん…



これが勝負なんだあ…
どんなにどんなに願っても、甲子園に立てるのはたったの1校。
そしてさらにその頂点に立つのは、日本でただ1チームだけなんだ。それ以外のチームはみんな負けるんだ。
ああ! と否応なしに解らされた気がした。暴力的に、わし掴まれたみたいに。



勝って、ホームベース前に崩れおちた成宮の姿が印象的だった。
「でかいことばっか言ってきたから ・・勝ててよかった・・」という涙まじりの言葉。それを聞いた雅さんの目にも涙…
何よりも、自らを奮い立たせるためのビッグマウスだったんだなあ。もう絶対に負けない、負けられないという決意で、成宮はマイナス思考を徹底的に封じ込めていたんだなあ。
青道の敗北を悲しみながらも、こんなシーンを見せられちゃあ、稲実勝ててよかったね、と心から思わずにはいられないよ。
ホントにすごいよ…
9回裏のあの局面で、誰一人諦めていなかったんだもん…



青道の応援の人たちはみんな、「ナイスゲーム」と惜しみない拍手で迎えてくれたけど…
勝利をもぎ取って帰りたかっただろう、歓喜の拍手の中でお礼を言いたかったに違いないだろうと思うと、このシーンはたまらなかったです。
応援側だって、「おめでとう」って迎えたかっただろうな、当たり前だけれど。でも、名試合に拍手を贈る気持ちに変わりはない。贈らずにはいられない、だって本当にナイスゲームだったから。



哲さんの涙、丹波の涙。
「必ずもう一度 お前をマウンドに立たせてやる」と、哲さんが丹波にした約束は、叶わなかった。
でも、叶わなかった夢が無駄だったなんて、絶対に絶対に思えない。思ってたまるかです。



髪の一本から爪の先まで、これでもかって程すべてを懸けて挑んで、そして負けるということ。
それをこれほど熱く見事に描き尽くしてあるのを、あんまり他に知らないです。
次巻がほんとに、ほんとうに楽しみ。




21巻の感想はこちら



 



この記事へのコメント

  • 三森さんこんばんは(^^)
    お久しぶりです銀です♪

    記事を読みながらまた泣いてしまいました(T_T)

    実はダイヤのAが、野球にハマるきっかけになった作品なんです(^^)
    野球なんて本当に全く興味なかった(むしろ好きじゃなかった?)のに、この作品にはやられました‥
    そのあとで おお振りも読み始めたんですよ~(^O^)
    甲子園も録画してまで見るようになりました!

    22巻は本当に読むのがツラい‥けど、三森さんが言うように稲実ナインにも『良かったね』って言ってあげたくなりますね!
    成宮、よく頑張った(^^)

    でもやっぱり青道のみんなに勝って欲しかったです‥(T_T)
    試合が終わって、私は茫然だったんですけど、純さんが崩れ落ちるのを見て『うわぁー!!!(;_;)』となり、哲さんの『ちゃんと整列しよう』という毅然とした言葉、態度で ぐっとこらえ‥ましたが最後のバスの中でのシーンで死亡しました(笑)
    哲さんんん!!!

    勝負って残酷だけど、だからこそ心に響くんですね(;_;)あぁ‥三年生‥

    興奮しすぎて毎回長文ですみません(;゜Д゜)
    青道高校野球部も、『また始まる!』ですね!
    みんながんばれー!!

    ではまた!(^^)
    2010年09月03日 23:52
  • 三森紘子

    銀さんへ

    こんばんは☆コメントありがとうございます!
    わ、銀さんもダイヤのA読んでらっしゃるんですね~!

    >実はダイヤのAが、野球にハマるきっかけになった作品なんです(^^)

    そうだったんですか…わかります!!
    私は、順序としては銀さんと逆で、おお振りの後にダイヤを読み始めたのですけれど、きっとダイヤが先でも野球を好きになったに違いないと思います。

    22巻…すごい展開でしたよね。私も途中からずーっと泣き通しで…
    元々マンガを読んでよく泣くほうなんですけど、それにしても泣きすぎだろうというくらいに泣いてしまいました(;_;)
    抱き合って喜ぶ稲実と、崩れ落ち涙する青道と…どっちの気持ちもわかって、本当にたまりませんでした。

    >純さんが崩れ落ちるのを見て『うわぁー!!!(;_;)』となり、哲さんの『ちゃんと整列しよう』という毅然とした言葉、態度で ぐっとこらえ‥ましたが最後のバスの中でのシーンで死亡しました(笑)

    本当に!!! 純さんのあの姿にも、キャプテンらしく皆を率いる哲さんの涙にも…
    死亡しそうでした(笑) 間近で見ていた沢村たち、どんなに悔しかったでしょうね…

    次巻予告では、新生青道チームがまた新しくスタートを切っていくようですね。高校野球って、そこにしびれます。ほんとにみんながんばれー!!

    こちらこそ長文すみませんでした;それではまた^^
    2010年09月04日 20:11
  • がれ

    お邪魔します。
    私はおお振り→ダイヤのAの順で知りました。
    今回はぼろぼろに泣かされました。
    この夏休みは1巻から読み直して号泣してました…。
    哲さん…!
    でもカルロスも格好いい…!
    ゲキ熱by.真田でしたね。
    2010年09月04日 22:05
  • 美桜

    お久しぶりです!前回一度だけコメントさせていただきました美桜です★

    ダイヤのエースはつい最近漫喫で最新刊まで読破しました!すごく面白くて何度も1人で笑ってしまい危うく不審者でした←(笑)
    最新刊は本当泣けました(;_;)高校野球終わったばっかりでまだその余韻もあったし余計に…(泣)
    おお振りとは違った魅力のある漫画でとても好きになりました(^^)

    おお振りもダイヤのエースもそうですが、選手たちがすごく一生懸命で本当に心を打たれます!しかし悲しいかな、実際の高校球児ってみんながみんなこんなにピュアじゃないですよね…(笑)私は弟が現在現役の高校球児なんですが、話を聴いていると漫画と現実とのギャップに悲しくなります…(笑)まあ当たり前なんですけどね…漫画はフィクションだし…でも漫画の彼らがあまりにもキラキラしているので(>_<)笑

    最後何の話だか分からなくなりましたね(笑)すみませんm(_ _)m
    おお振りの感想も読ませていただきました!色々感想あるのですが、長くなってしまったのでやめておきます(笑)

    本当に長々すみません(>_<)また来させていただきます!いつも素敵な感想感謝です(^▽^)♪
    2010年09月05日 14:28
  • 三森紘子

    がれさんへ

    コメントありがとうございます☆
    がれさんも、おお振り→ダイヤの順で読まれたんですねー、私も同じです。

    >この夏休みは1巻から読み直して号泣してました…。

    わあーいいな! いい夏休みですねえ。
    哲さんの涙には、本当にぐっときました…
    カルロスもかっこいいですよね! 同点ホームインのジャンプが個人的に大好きでした。
    この夏にふさわしい、ゲキ熱な巻でしたよねー、次巻もホント楽しみです^^
    2010年09月05日 17:00
  • 三森紘子

    美桜さんへ

    コメントありがとうございます!
    以前にいただいたコメントも覚えておりますよ☆ ふたたび来てくださってうれしいです^^

    ダイヤ、最近読破されたんですね。
    うんうん、ほんとに面白いですよね! ストーリーはもちろん、沢村のキャラも好きだし、他の人たちも個性豊かで、細かい部分も見逃せません。
    オマケページに載っているキャラクタープロフィール(「選手名鑑」だったかな…?)を読むのがひそかに楽しみだったりします(笑)

    この最新刊は時期的にもヤバかったですよね…!
    私も、高校野球をテレビで観たりしていたので、現実と漫画がオーバーラップしてしまって、実際のことのように号泣してしまいました。3年生に、甲子園に行ってほしかったなあ…

    >私は弟が現在現役の高校球児なんですが、話を聴いていると漫画と現実とのギャップに悲しくなります…(笑)

    おおっ、貴重なお身内のご意見!(笑)
    やっぱりそうなんですね~(笑)高校野球って、結局観ている側が美化しすぎていること、絶対あると思います。夢みちゃってるというか…
    でも弟さんたちには、観る側のことなんて気にせずに、自分たちの青春を謳歌してほしいと思います! こっちはこっちで、勝手に夢をみてますので(笑)

    おお振りの感想も読んでくださってありがとうございます。長いコメント、とってもうれしいので、よろしければまた今度ぜひ聞かせてくださいね^^それではまた!
    2010年09月05日 17:15

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