会いに行こう ~羽海野チカ「3月のライオン」5巻




 「不思議だ ひとは
 こんなにも時が 過ぎた後で
 全く 違う方向から
 嵐のように 救われる事がある」



盛りだくさんすぎてアワアワしました。
ひとつずつ順番に、感想を。



・桜の花の咲く頃


…島田さぁぁ~~~ん!!!
といきなり大号泣をしてしまった…
人間将棋に参加するため、故郷の山形へと赴く島田八段(&零くんたち)。
島田八段を、「開」「開ちゃん」と大喜びで迎えるじいちゃんばあちゃん(おばあちゃんたちなんてキャッキャ騒いでるよ)と、
笑い合いながら将棋を指す島田八段が本当に楽しそうで、零くんや泉田さんと一緒に、とってもとっても嬉しい気持ちになりました。



笑っている島田八段を見て、自分も嬉しくなって、同じように思っている人が他にもいるのを知って、またさらに嬉しくなって。
そんな零くんたちを見て、読んでいる私もたまらなく嬉しくなって。何なのだろうこれ!
こんなふうに幸せな気分が広がっていくのは、なんてすてきなことなのかしらと思います。泣きそうなくらいに思います。



自分のルーツであるふるさとの人々を大事にしたい、自分が名人になって山形に土産を持って帰りたいという島田八段の気持ち、
そんな島田八段の気持ちをぜえんぶわかって、「変わんねぇ 大丈夫だから焦るな」と言葉をかけてくれるおんちゃんたち、
気の遠くなるような挑戦の繰り返しに途方にくれながらも、「また一から」とその一歩を踏み出す島田八段。
泉田さんのように、彼にすっかり惚れ込んでしまうエピソードでした。
ラフランスくじらもち、とっても食べてみたい~!



・三日月堂の新商品


名物「三日月焼」に続く目玉商品をあみ出そうと悩むおじいちゃんに、あれこれアイデアを出す川本三姉妹。
いいなあ、将棋の話だけじゃなくてこういう話も出てくるのが好きです。
この回だけ読んだら、和菓子職人を目指す少女と周囲の人々が織りなす青春老舗グラフィティ☆(←すごくてきとう)だと思われてもおかしくないじゃないですか(笑)
そうよね、あんこと生クリームの組み合わせは最☆強だよね!



顔を合わせて電話越しに話すひなちゃんとれいちゃんが良かったです。
自分の考えたお菓子を誰かに食べてもらいたい…と思って、すぐに零くんのことが浮かぶところでニッコリしちゃう。
零くんのほうも、将科部で作ったラムネを川本家に持ってってあげてたし。
零くんにとって川本家は、「会いに行こう」と思える居場所なんだね。まるで家族だなあ…。



それにしても、ひなちゃん考案のふくふくダルマ、かわいいやらおいしそうやらで食べてみたすぎる!
あああ、モモちゃんのおっきなお目目にお花が見える! かいらしな~!(方言)



・将科部爆誕☆


…というワケで、部員数の足りない放科部と将棋部がドッキングして「将科部」となりました。祝!
林田先生グッジョブだなあ! 野口先輩はホントにいいキャラしてはる…高一の春からすでにこの貫録(笑)
手作りのラムネ、おいしそうだなあ…(さっきから食べ物に反応してばっかりだ・笑)
将棋のこと、科学のこと、お互いの得意分野を教え合って、わいわい楽しくおしゃべりして…
またひとつ、零くんの居場所ができて、食べてもいないラムネのシュワシュワが口の中によみがえって、じわりと涙腺がゆるみました。



クラス替えになって担任じゃなくなった林田先生を遠くに感じてしまう零くんの気持ちが痛いほどわかった…
そして、その距離を一瞬で詰めてきてくれた林田先生にありがとう…!と言いたいです。
あと、「ボールは友達っっ」「世界を驚かす覚悟がある!!」と言って校庭に飛び出してった二人が何気にツボでした(笑)



・名人戦


隈倉九段がえらくかっこいい…!!
正に男が惚れる男! 脱いである彼の靴が大きいといってはしゃぎまくるスミス先輩と一砂先輩に笑った。だが気持ちはわかる(笑)
手づかみでケーキをくわっと食べるシーンも素敵でした。
旅館の壁を蹴り抜いて、特急のボックス席で足投げ出して眠る姿も素敵でした…はうう…惚れる…



いつも涼しい顔の宗谷名人も、タイトルを守るためにものすごく頭使ってものすごく消耗してるんですね。
島田八段との対局も相当大変だったのか…
隈倉九段と宗谷名人が、お互いに相手のことを「力いっぱいブン回しても壊れないおもちゃだと思ってる」と言うところもすごい。



・後藤さんと香子さん


島田さんを悪く言われて怒る零くんと二階堂くんがよかったです。
それから「島田なんてどうせほっときゃ勝手にまた勝ち出すさ」という後藤さんも。



「襲うもん」と図星突かれてギクッとしたり、(架空の)耳をぴーん!と立てる香子さんがめっちゃかわいい…
零くんが後藤さんを「混沌」と表したように、香子さんもまた色んな顔を持っているんだろうなあ。
そして、わあ、とっても抱き心地の良さそうな抱き枕ですこと!(すいません)



病室で奥さんの手を握る後藤さん。
眠り続ける奥さんの唇にはちゃんと紅が差してある。後藤さんがお化粧してあげてるのかなあ…
後藤さんと香子さんの間にも、まだまだ漫画に描かれてない出来事がたくさんあるのだろうね。



・ヒナちゃんの涙と零ちゃんの約束


いじめられていた友だちのちほちゃんをかばったために、自分も次のターゲットになってしまうひなちゃん。
「ひとりぼっちになるのこわい」と泣きながらも、「私のしたことはぜったい まちがってなんかない」と強く強く言い切る彼女の手を、
握って零くんは言う。「ありがとう 君はぼくの恩人だ」



将棋しかなくて、家にも学校にも居場所がなくて、ずっとひとりぼっちだった昔の零くんは、
ずっとずっと、ひなちゃんのような人に、手をさしのべてほしかった。
ひなちゃんのような人がいるんだということが、あの頃の零くんを今になって救う。



転校してしまったちほちゃんを笑ったクラスメートに飛びかかることのできるひなちゃんの真っ直ぐさは、いろんな人の力になっているんですね。
「何もしてあげられなかった」とひなちゃんは泣いたけれど、絶対絶対そんなことはないですよ。
たすけてくれた人が一人でもいたという記憶は、絶対にちほちゃんの中でおおきな力になると思います。
真っ直ぐなその強い光を、どうかなくさないでほしい。太陽に向かって飛ぶ天道虫のように。
きっと零くんが、その光を絶やさないように守ってくれるよ。



なんだかどうなるのだろう、続きがますます楽しみです。



ところで、監修をされている先崎八段も、二階堂くんが大好きな模様ですね(笑)
コラムの「この世界、闘志というものは生きる上での最低限のもので、だからむしろ表に出さない棋士が多いのです。」という一文が印象的でした。




4巻の感想はこちら


 


 



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