ある昔話の追想 ~藤田和日郎「月光条例」12巻




おとぎ話の世界がおかしくなり始めた、その元凶は、
至上最強の月打を受けた、「青い鳥」のチルチルにあった!
いよいよクライマックスが始まった感のある月光条例。



実は「青い鳥」というお話を、しっかり読んだことがないのですよね…。
今回初めて、ちゃんとしたあらすじを知りました。



月打の中の月打、「ムーンストラックスト」をただ一人受けたチルチルは、自分のいるこの世界に<作者(サクシャ)>が存在することを理解する。
サクシャにハッピーエンドに書き換えてもらうといって、まさか本当にメーテルリンクのところに行ってしまうとは…!
キャラクターが漫画のコマを飛び出して作者に会いに行く、という表現をギャグではなく真面目にやった漫画、初めて見たよ。
おれを追っかけてくれよ~とチルチルに泣きつく青い鳥がかわいかった(笑)



チルチルが偶然流れ着いた「ものがたり」……未読の方のためにタイトルは伏せておきますが、
このお話、覚えてたよ。ていうか、読んでいくうちに思いだしたよ。
私も「まんが日本昔ばなし」で観たんだった。
今あらためて味わってみると…そして藤田和日郎という稀代のストーリーテラーの手にかかってみると、
なんてやりきれなく悲しいお話なんだろう…という思いばかりが募ります。



どうしてやさしくて清らかな人たちがこんなに悲しい思いをしなければならないのか…
どうしてこんなに悲しいお話が現在まで語り継がれてきているんだろうか…
これが実際にあった話で、だからこそ皆が忘れず語り継いできたのだとしたら、よけいに悲しいけど、やっぱり覚えていようと思うだろうな、私も。



それにしても、エピソードの最後までお話のタイトルを伏せていたのは効果的だったと思う。
より強く、より悲しく、胸を衝かれました。
さすがの藤田先生です。



チルチルのその後と、修行中の月光と、各所で奔走するエンゲキブたちと。
続きがますます楽しみになってきました。
あと、巻末おまけの「けっこうコラム」がものすごくお気に入り。藤田先生の自画像、だいすきだ~。



11巻の感想はこちら



 



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