ふたたび出会う ~長野まゆみ「改造版 少年アリス」




長野まゆみについて書くと、長くなる。
しかも夜中に書いた日記みたいにひどくこっ恥ずかしいものになってしまうので、ブログに載せるのは止しておいて、
今回読んだものに限っての感想を書きます。
でもいつか、夜中の日記みたくこっ恥ずかしいそれを人の目にさらせるように、書き直せたらなあと思います…。



とにもかくにも、高校生のときに初めて読んだ長野作品が、氏のデビュー作である無印版の「少年アリス」でした。
この「改造版 少年アリス」は、20年(!)を経てデビュー作を書きなおし、新たに刊行されたもの。
読み比べようと思って無印版を探したんだけど見つからなくて、この際立ち読みでもいいや、と本屋に行ってもやっぱり見つからなかった。
ていうか、河出文庫の棚自体が見つからない。え…? 今でもありますよね、河出文庫って…?
しょうがないので、無印版のほうはおぼろげな記憶を頼りにして読み比べてみました。



Amazonのレビューを見たかぎりでは、お話に登場するアイテムが別のものになっていたりと、大幅な改稿がされているようですね。ラストも違うようです。
おぼろげな記憶しかないので、そのへんは気にならずに読めて、よかったんだか悪かったんだか…。



そのおぼろげな記憶でもはっきりわかった違いとしては、
「じゃ」を「ぢゃ」と表記したり、「?」マークを封印していたりと独特だった文体が、一般的なものに変わっています。
だからきっと、ずいぶん取っつきやすくなっている。
章ごとに添えられる長野氏ご自身の挿絵(というか、模様?)が、とてもとてもとても素敵。
無印版の装丁(単行本のほう)も大変素敵だったので、あちらはあちらで絶版などになってほしくないですけど。



ところで、高校生のときの私は、無印版「少年アリス」を児童文学の延長のように思って読んだので、
イメージとして思い浮かべたアリスたちも、児童書っぽい頭身の小さなすがたをしていました。
アリスのともだちの蜜蜂のイメージなどは、「コジコジ」の次郎君みたいなずんぐりむっくりしたすがたでした。(だって「蜜蜂」って普通、人につける名前じゃないじゃん…)
だからのちのちになって、長野氏が描かれた「少年アリス」の絵を見たときは、華奢な膝をした線の細い少年たちのすがたに、かなりのカルチャーショックを受けたものでした(笑)
ああ、挿絵の有無って重要だなあ…と思いつつ、
長野氏の描かれる絵も決して嫌いではないので、今回の「改造版」では当初からそのイメージで読むことができて、一粒で二度おいしい感を味わえました(笑)
※蜜蜂の悪口を言ってるように取られるかもしれませんが、そんな意図はありません。むしろすごくかっこいい少年だと思っています。例え私の中ではずんぐりむっくりであっても、そのかっこよさは変わりません。もちろんコジコジの次郎君のことも好きですよ



生まれなかったたまごが人のすがたを借りるのなら、男女比は半々になりそうなものだけれど、
やっぱり長野まゆみの世界の中では鳥=少年なんですね。



巻末についている「少年・少女のための『少年アリス』辞典」には「マミジロ」という名前も載っていて、
「群青学舎」(入江亜季・著)に出てきたマミジロというキャラクターは鳥の名前から採っていたのね、とわかった。
この用語辞典は、なんというか奮えます。静かに興奮する…。
長野氏の好きな言葉しか載ってないんだろうなという感じが。
目がくらむほど苦いからクララ、という名を草に付けるなんて、しびれますね、和名。



近ごろは長野氏の作品からすこうし離れていたのですが、
原点である「少年アリス」をちがう形で読んでみることができて、良かったような気がします。
さいしょの気持ちを思い出せた。
こんな本があるんだ…と、目の前にまったく新しい世界が開けたような、鮮烈な感動との出会いを、
これからも探していきたいと思う。



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