相思相方愛 ~サンドウィッチマン「敗者復活」




だけど、どんな場所でも僕は思っている。ネタを最後まで見てくれ! 絶対に面白いから! と。富澤の書くネタは本当に、すごいんだ。ちゃんと聞いてくれたら必ず満足させられるから!(伊達みきお)



仙台から、伊達をここまで引っ張り出してきたのは僕だ。僕にとって、伊達は、夢を叶えるためにいなくてはならない男で、伊達が喜ぶ顔は、つまり、僕の喜びとイコールだってことだ。(富澤たけし)




やばい…これは泣ける! こんなに泣かされるとは思わなかった。
結成9年目、M-1グランプリ2007で準決勝敗退するも敗者復活戦で勝ちあがり、そのまま見事チャンピオンとなったお笑いコンビ・サンドウィッチマンの二人が、出会ってからこれまでのこと、そしてこれからのことを書いた自伝ともドキュメンタリーともいえる本書。
桜庭一樹さんの読書日記で(←最近こればっかり…笑)絶賛されていたので、気になって読みました。



伊達さんと富澤さん、それぞれの語りが交互に綴られていくという構成。
高校で出会ってからの話がほとんどで、その後はずっと一緒にいるのだから、当然語られるエピソードは二人ともほぼ同じです。
同じ出来事でも、2つの違った視点によって書かれているのでものすごい臨場感。
特に、M-1グランプリの様子を書いたくだりは鳥肌ものでした。



だけど、視点は違うし書いてあることも微妙に違うのに、受ける印象というのがびっくりするほど同じなんです。
というのは、二人の文章には大きな共通点があるんですね。
それは、自分の相方に対する大きな尊敬と愛情。
「相方は伊達しか考えられない」と、会社勤めをしていた伊達さんを待ち続けた富澤さん、安定していた仕事を辞めて富澤さんと組むことを決意した伊達さん。
二人が、「こいつしかいない」とお互い思い合うことのできる相手に出会えたことを本当に嬉しく思います。



でも、執筆中にお互いの原稿を見せ合ったりとかはしてないと思うんですよね。最終的にはすり合わせとか調整とかもしただろうけど。
たぶん、恥ずかしくて見せられないんじゃないかと思う(笑)こんなに相方愛に満ち溢れているんだから。
ネタが書けなくて落ち込んでいた富澤さんが自殺するんじゃないかと思った伊達さんが気が気じゃなくなって、
バイトを早く切り上げてアパートにダッシュで帰って「富澤ーーー!!」とドアを開けるところ、大好きでした。



富澤さんが高校のラグビー部で初めて会った伊達さんの第一印象は「体格はがっちりしてるけど、よく見ると可愛い顔してる男だな」だったそうですが、
当時の写真が載ってるのを見たらほんとにあどけないベビーフェイスだったのでほほえましくなりました(笑)今の金髪メガネ姿からは想像つかないくらい。
富澤さんの高校時代は逆にリーゼント頭で怖そう(笑)



2007年のM-1グランプリはもちろんリアルタイムでも観ていたけれど、もう一度観なおしたくなったのでDVDをレンタルしてきました。
これを読んでから観るとさらに感動的でした…。
伊達ちゃんを送りだすハチミツ二郎さんの姿がちゃんと映ってて感動。相方に抱きつく富澤さんの姿も、たとえテレビ用だったとしても(笑)すごく感動しました。
そして一瞬二人ともネタが飛んでしまったというファイナルですが、どこで飛んだのかまったくわかりませんでした。
それなのに二人には「飛んだ!」ってお互いにわかったんだなあ。すごいなあ…。






※  ※  ※




今だからこれを読んだというわけではないのですが、時期が時期なので補足。
地震の瞬間、被災地に居合わせた人だからこそ伝えられることというのがあると思います。
二人にしかできないことが絶対あるし、実際に今それをやっておられる最中なのだから私に言えることなんてありませんが、応援しています。
二人の故郷の仙台に、いつか行ってみたいです。


名もなく、稼ぎもない年月を過ごしてきた僕らは、わかっている。
敗者とは、勝者になれるチャンスを手にしている者のことだ。(プロローグより)



 



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