恐れるな友よ ~神林長平「アンブロークン アロー 戦闘妖精・雪風」





「すべては変わりゆく
 だが恐れるな、友よ
 何も失われていない」


      (冒頭エピグラフより)



「戦闘妖精・雪風」「グッドラック」と読んできて、雪風シリーズ三作目の「アンブロークン アロー」をようやく読み終えました…。
おもしろすぎる。
おもしろいけど難しいから、感想はとても書けないわーと思ってたんだけど、この三作目が本当におもしろすぎたので。
難しい部分には触れずに(笑)、感想を残しておくことにします。



惑星フェアリィで繰り広げられる、地球防衛機構「FAF」と異星体「ジャム」との戦いを描いたこのシリーズ。(←思いっっきり端折ったあらすじです。詳しくはウィキペディアとかを見てください)
もう、端から端までSF! っていう感じの作品で、本来は苦手分野のはずなんだけど。
しかもハードカバー二段組みで、改行も少ないから文字がつまってて、専門用語もバッシバッシ出てきて、
読みやすい要素は一切ないというのに、もうどんどんどんどん読み進めてしまいます。
坂を転がるように、ページをめくり続けているという状態。



これは神林長平先生の、とてつもなく達者なとしかいいようのない筆致に拠るところが非常に大きいと思います。
「『受油プローブスイッチ、エクステンド』おれはそう宣言し、雪風の背にある受油プローブを出す。スロットルレバーを握る左手に神経を集めて速度調整。ミルキー3の左下方から接近。(中略)気流は安定している。相対速度、相対高度、確認。いい感じで、接近。HUDにFの表示、もうちょい前だ。(後略)」
って、パンパンパーンと短いセンテンスでたたみかけられる文章がもう、目で追うだけで快感!
全然わかんないんだけどね! 全然、意味はわかってないんだけどね!



中でも特にクライマックス、フェアリィと地球をつなぐ<通路>へ雪風に乗って突入するシーンでの、
「おれは人間だ。これが、人間だ。わかったか、ジャム。」という主人公深井零の表明には、
頭皮の毛穴がブワッ…と開くのを感じました(あれ、なんか表現がイヤな感じに…すいません)。
ほんと、神林先生の文章だから読めたんだと思う。



人間的欠陥がある、心を閉ざしている、精神的に脆い、というような描かれ方をしていた(気がする)深井零も、
二作目の中盤ごろからかな、確固とした強さを感じるようになりました。
常に異星体、人間以外のものと戦っているからなのか、絶えず自分とは何か、他者とは何かということを考え続けている零は、
今や誰よりもしなやかで強い人間に見える。
あとブッカー少佐が好きです私は。でもOVAの少佐はちょっと男前すぎる(笑)個人的イメージとしては二枚目半ぐらいで!(笑)



わたし今、どっち向いて立ってんのかわかんない…とか、
何のために生きてんのかわかんない…とか、
ときたま自分というものを見失いそうになることって、程度の差はあれど誰にでもあるんじゃないかと思うのですが、
そんなときに読むと、心を落ち着かせてくれる効能があるような気がします。「雪風」という物語は。



しびれた、本当に。
激しく続きが読みたい…! 出るのでしょうか、続きは…!
 




戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)グッドラック―戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫JA)
一、二作目は文庫版で読みました。
OVAの続きもレンタルしに行かなくちゃ!


 

この記事へのコメント

  • ご無沙汰しております~w

    雪風の第一作読んだあと、、
    続編を希望する人と、続編なんてないほうがいいって言う人両方いたんですけど、
    グッドラック出たときには続編がなかったほうがよかった、って言う人はいなくなってて、
    そして、やっぱり続編を希望する人と、続編なんてないほうがいいって言う人両方いたんですよねw
    アンブロークンアローも一緒なんじゃないかなーとか。

    ぼくのマシン、だっけ。
    子供の頃の深井零の話も面白かったですよー♪
    2011年06月13日 18:46
  • 三森紘子

    栞さんへ

    お久ぶりです~! コメントありがとうございます!
    雪風、やっと三作目まで読めました~!

    >続編を希望する人と、続編なんてないほうがいいって言う人両方いたんですけど・・・

    ということはつまり、それぞれが一作品として完成していたのに加え、
    新しく書かれた作品がことごとく前作のクオリティを上回っていたということなんでしょうか?
    すごいなあ…ほんとに!!

    でも確かに、私は零たちのその後をもっと知りたいので「続編欲しい」って思いますけど、
    「アンブロークンアロー」で完結だって言われても、それはそれで納得できちゃうんですよねー。
    それくらい満足感がありました。面白かったです!
    栞さんにお勧めいただけて、本当に感謝してます。

    「ぼくのマシン」もぜひ読んでみます^^楽しみだー♪
    2011年06月13日 22:31

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