世界で一番 ~杉本亜未「ファンタジウム」7巻





 どうして 昔から人は
 光や あたたかいものにふれようとするのか
 ずっと考えていたよ



――素晴らしい。
2巻の感想で、まだ完結してないけどこれは名作になると思う、って書いたのだけれど、
その思いがますます募っていきます。



テレビ生放送のマジシャン対決をエスケープして、ホスピタルクラウンとして病院の子どもたちにマジックを披露したあと、
両親をステージに呼んだ良君は、難読症のトレーニングの成果を見せます。
神村先生の導きと電子辞書の助けを借りて、その手で紙に文字を綴っていく。
お母さんとお父さんの目に涙が浮かぶ。



「家族」と。「神秘」と。「魔術」と。「秘密」と。「知識」と。
「愛情」と。「天体」と。「夢」と。「誕生」と。
両親と北條さんと夜空の月に見守られながら、良君は文字を綴る。
世界で一番美しい光景のように見えました。



たとえば文字を書くからくり人形ピエロ・エクリヴァンに、たとえばイタリアの小さな村を照らす鏡に、
なぞらえて杉本先生は常に何かを語りかけているのだけど、
肝心要のところは決して口にしない。まるで読者一人一人の心にゆだねるように。
それがこんなにも強く、読む者の胸に余韻を残す理由なのだと思います。



巻末収録番外編の「ゆうぐれ天使」もとても素敵な話だった。
ひばり並みに上手いという良君の歌声、聴いてみたいな…。



それにしても神村先生は…6巻ではあんなにコワイことになってたのに、まさかこんな風に転ぶなんて誰が想像しただろう!
ほんと、良君じゃないけど人間って「面白い」なあ。
楽しそうに家出する良君と渡辺君がかわいかった。良かったなあ、二人がともだちで。
「命の洗濯」なんて言葉、中学生の男の子が使うんだからまいっちゃうなあ。
ソシラちゃんもかわいい! いきいきしてる成田課長もかわいい(笑)



6巻の感想はこちら



 



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