てげれっつのぱあ ~雲田はるこ「昭和元禄落語心中」1巻





 「お前さんだって思ったろう? アタシもなんであんなの拾っちまったのかと思ってたけど
 同しような野郎に引っかかるよう 神さまに作られちまった」




雑誌「ITAN」を立ち読みして、すごい面白そうな予感がしたので単行本が出るのを待っていた作品です。
やっぱり面白い! 待ってて正解だったー。



 満期で出所の模範囚。だれが呼んだか名は与太郎。 
 娑婆に放たれ向かった先は、人生うずまく町の寄席。 
 昭和最後の大名人・八雲がムショで演った「死神」が
 忘れられず、生きる道は噺家と心に決めておりました。 
 弟子など取らぬ八雲師匠。惚れて泣きつく与太郎やいかに……!?
 昭和元禄落語心中・与太郎放浪篇、いざ幕開け!!
  (裏表紙より)



出所したての元ヤクザの若者が落語の名人に弟子入りするというお話なのですが、
とにかく八雲師匠がこのうえなく格好いい! 色気! ザ・色気!
冷徹な瞳と嫌味な笑みと粋な江戸訛りと、昭和最後の大名人と謳われる芸とで、向かうところ敵ナシなお方です。素敵…。



そんな八雲師匠の前にたびたび現れるのは、既に鬼籍に入った同門の友人・有楽亭助六の幻影。
死後20年経ってもなお師匠の中で鮮やかに生き続ける助六、その忘れ形見の小夏が言うように、助六を殺したのは本当に師匠なのか?
そのへんのところも、気になって仕方ありません。



それから、私はどうやら口元が表情豊かに描かれている絵が好きみたいなんですが(他に例をあげるならひぐちアサ先生とか、雁須磨子先生とか、ふにゃふにゃしてるのが好き)
この作品でいうなら、与太郎のくるくると変わる表情がそれに当たります。
喜んだりしょんぼりしたり、ほんっとかわいい~…! 人なつっこい大型犬のようだ(笑)
寄席で兄貴の見てる前で「出来心」を演るシーンが大好きです。
お客と呼吸をやりとりしながら演じるというのを初めて経験して、「楽しい……」と満面の笑みになるところ、見ているだけで幸せな気持ちになるよ。



そうかと思えば、「女になんか生まれたくなかった」と悔しげにこぼす小夏に、女将さんが
「馬鹿だね 生まれちまったらそれが定めさ」と答えるところなんか、しびれっちまいます。



小夏ねえさんや与太郎の兄貴のファッションがえらい昔っぽいなあと思ったけど(あと萬月さんも)、やっぱりちょっと前の時代の話みたいですねえ。
助六が若手で活躍してたのが昭和30年代で、死んだのが20年前だから、昭和50年…1970年代くらい?(すごく適当な計算ですが)
松田さんの出してきた雑誌が買ったばかりのなら、1971年で確定なんだけどなあ。まさかそこから20年後の1991年ではあるまい…
ちょっと懐かしいにおいのする絵柄なので、そのくらいの時代設定がぴったりだなあ。



表紙の八雲師匠の横顔の色っぽさと、裏表紙の与太郎の何とも言えず良い表情(←書店でぜひ見ていただきたいなァ)に惹かれたなら、読んで損はナシと言えましょう!
巻末の寄席ガイドまんが「寄席に来ないか」も案内役の与太と松田さんが可愛くて、寄席に行きたくなっちゃいます。
2巻では若き日の八雲と助六が描かれるようです。むほ、気になる…! これまた頗る楽しみだい!
 
 




元ヤクザが落語の師匠に弟子入り…という設定で思い出すのは、クドカン脚本のドラマ「タイガー&ドラゴン」。これを読んだら観たくなってDVDレンタルしてきました。
もちろん全然別物だけど、こっちも大好きな落語の噺です。



この記事へのコメント

  • がれ

    おじゃまします。以前、大振りとジャイキリでコメントしたことがある者です。雲田はるこ先生のこの漫画、すごい面白いですね!!
    今日、近所の本屋で平積みしてて、ジャケ買いしました。
    あまりの面白さに検索したら三森さんが紹介されてて、嬉しくなって来ました。
    師匠の色気と与太郎の可愛らしさに見事にやられましたよ…。
    口の可愛らしさ、分かります。三橋のような、達海のような、かよちゃんのような口が好きです!
    おじゃましました!
    2011年08月29日 00:49
  • 三森紘子

    がれさんへ

    お久しぶりですー! コメントありがとうございます☆
    おおっ、ジャケ買いされたんですね! すっごい面白いですよねえこれ!

    >口の可愛らしさ、分かります。三橋のような、達海のような、かよちゃんのような口が好きです!

    分かっていただけますか…! うれしい~。
    そして、そうか、タッツミーもこのグループに入りますね、そういえば!(笑)
    もうみんな可愛くて大好きですvv

    2巻も楽しみですね^^また来てくださってありがとうございました☆
    2011年08月29日 22:23

この記事へのトラックバック