アエラムック「AERA COMIC ニッポンのマンガ」




夏目 そういう見方は一般的にはマニアックと言われるのですが、実際はもう半分クリエーターなんですよ。作っているわけ。キャラクターがいいとか、この時のこれがいい、っていうのは、自分の中でのベストの世界観が既に存在してる。『スラムダンク』の中でもこの時のこの人との表情や関係がいいとか、あるわけじゃないですか。僕は、それは半ばクリエイターになってるのだと思います。

よしなが 江戸時代に「見巧者」ってありましたよね。たくさんいいものを見て、しかも自分も大人になり経験を積むと、エンターテインメントで100%楽しむこと、それを期待すること自体が、傲慢だなと気付くんですよね。自分が全部気に入る作品なんて絶対に出ないことが分かっているので、それならばどう楽しむか、っていうことの方法の一つなのではないかなと。

(夏目房之介×よしながふみ「大人のためのCOMICナビ」より)





図書館にあったのを見つけて借りてきました。
2006年刊行なのでだいぶ情報が古いんだけど、こういう本はむさぼり読んでしまうよね…
手塚治虫文化賞10周年記念に出されたムックで、受賞作家陣のインタビューやメイキング、対談・鼎談、コミックガイドやコラムなど盛りだくさんの内容。
そうそうたるメンバーの描き下ろし短編マンガまで載ってて、非常に読み応えがありました。
戦後にGHQが収集した蔵書から発見された幻の手塚治虫漫画もお蔵出し。GHQって…すごいな…



夏目房之介さんとよしながふみさんの対談が一番面白かった。
房之介さんが「やおい的な見方はバイリンガル」だっておっしゃってて、なんかすごくいろんなものが腑に落ちた~! って思いました。
やおい的な見方をできるのがエライかっていうと全然そういうわけでもないと思うけど、
やおいに限らず、よしながさんがおっしゃるように「自分にとって『つまらない』マンガがなくなる」っていうのは、ある意味賢さですよね。人生をより豊かにするための知恵なのじゃないか。
見巧者か~、かっこいいなあそれ。見巧者になりたいものだなあ。



吾妻ひでおの「墓標」というSF短編がすっごい面白かったです。
井上雄彦はまるで求道者のようと思うことがある。作品はもちろん、その生き様をずっと見続けたいという気持ちになります。



 



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