これも面白かったーっ!
こないだ読んだ「空の中」は未知との遭遇…というか、ジュブナイルSF的なにおいがまだあったのですが、
この「海の底」はそれ以上に、硬派なパニック小説っぽい感じですね。
何しろ、体長一メートル~三メートルの巨大ザリガニの大群が、人を食いに海から上陸してくるのだから!
「空の中」に出てくる【白鯨】はまだ人間と意思疎通が可能でしたが、
こっちの【レガリス】は言葉は通じないうえに、人間を餌と見なして襲いかかってくるわけだから、その恐怖たるや倍増どころのさわぎじゃありません。
2年ぐらい前に読んだ海外小説「深海のYrr」も、海からやって来た脅威に人間がおびやかされる話で、
怖ええ―――! もう魚介類食べれな――い! と恐々としながら読んだのですが(食べてるけど)、
今作品もそれはそれは恐ろしかった。
どうやら私は潜在的に海への恐怖心を持ってるみたいで、こういう類いのお話はとにかく震えあがってしまいます。
(だから怖さには個人差があるとは思うのですが…)
警察や自衛隊の奮闘のみならず、ご町内の歪んだ確執やら少年少女の成長やらまで同時進行でがっつり書いてしまえる構成力は素晴らしいの一言。
非常時の月経という、女性にとって実際の災害時に避けては通れないことについて、ディテールが細かく描写されているのも女性作家ならではで、すごく良かったと思います。
今回、ラブは一体どこに生まれるのかなー?と思って読んでいたら、こんなところに咲いていた!という感じでした(笑)
有川作品は(と一括りにできるほど読んでないけど)出て来る人みんなほんとに一途だよね…うらやましいくらいに。
圭介くんは将来、出来た大人になるような気がする。これからいろいろがんばりなよ。
夏木さんと冬原さんは、もうまんま「図書館戦争」の堂上さんと小牧さんですよね!(笑)いいコンビ。
あと、私が読んで面白いと思った点については、解説の大森望さんが言いたいこと全部書いてくださってるので、それを引用します。
「(略)有川作品の主人公は、つねに組織の一員として、みずからの職分を守り、与えられた場所で最善を尽くす。その姿がものすごくかっこよく見えるのがポイント。つまり、派手に活躍するからかっこいいんじゃなくて、プロがプロとしてベストを尽くすからかっこいい――というのが有川作品を貫くヒーロー観なのである。」
ほんとそうその通り…!!
そこにシビレつつ憧れつつ、「かっこいい大人」になれていない自分を顧みつつ、
県警第一機動隊長・滝野警部の次のような言葉を、襟を正す思いで読むのです。
「次に同じようなことがあったら今より巧くやれるようになる、そのために最初に蹴つまずくのが俺たちの仕事なんだ」
スゲエエエエ、カッコイイイイイ!!
解説で言及されていた平成ガメラ三部作もつい観たくなってしまいます。あと山本弘の「MM9」も。
この記事へのコメント
yue
解説にも書いてありますが、『クジラの彼』は、夏冬コンビ、春名と三尉のその後のお話以外も面白かったです。どさくさ紛れで『シアター!』『シアター!2』も推薦しておきます。押し付けがましく、本当にお邪魔になってしまってすみませんm(__)m
まだ25日前でしたね。ちい振り次は9月かなと何となく思っていて、もちろん早い方が嬉しいですし、新刊も再開も待ち遠しいです!ではまた。
三森紘子
こちらにもコメントありがとうございます!
『クジラの彼』と『シアター!』、ぜひ読んでみますね! メモメモ。オススメうれしいです、ありがとうございます☆
そしてアフタ、早売りがもう出ていたのですが、今月はちい振り載ってましたよ!(やったー!)
またあとでミニ感想を書きたいと思っています^^
yue
感想楽しみにしています!泉君希望ですが、水谷君かなあ?私も買っちゃいそうですが…。図書館戦争別冊2、最後の一冊も明日ですが、もう並んでいたかもです。明日の楽しみにします。
三森紘子
コメントありがとうございます☆
図書館戦争別冊も出るんですね! もうお手に取られましたか?^^
ちい振り、泉か…水谷か…は、どうぞ読んでのお楽しみで!(笑)