未来がぼくをさらいにくる ~地下沢中也「預言者ピッピ」2巻





 「あなたがもし考えることをしない人間なら
 いったいあなたは何のために人間なの?」



うわああぁー…



第1話が発表されたのが1999年。単行本1巻が発売されたのが2007年。
そして描き下ろしを加え、2巻が発売されたのがこの2011年10月。
これは続きが出てくれて本当によかったです。
そして、いつか完結するにしろ未完に終わるにしろ、最後まで見届けなければいけないと密かに決意させるような力を持った作品です。



何しろ4年ぶりで1巻の内容を忘れすぎていたので、引っ張り出して読み返してみたのだけど、
12年も前に描かれた第1話が、今読んでも全く古びていなくて驚嘆しました。
どこまでの構想を持って連載がスタートしたのかわかりませんが、まるで「予言」したかのように現在の空気に合っている。



地震を予知するために造られたヒューマノイド型コンピュータ・ピッピ、死後もピッピの中に存在する瀬川博士の息子・タミオ、
突然人の言葉を喋り始めた猿のエリザベス、「あなたは自殺します」とピッピに「予言」された真田。
ピッピの言う人類の進化とは? 真田の死の真相とは? エリザベスが見た、”Evil”とは何だ?
「失望」という怪物に、我々は立ち向かうことができるのか。



1巻ではこの人に任せてて大丈夫なのかなあ…と思っていた大橋委員長が、
意外にも責任感のある発言をしていたのでおおっとなりました。
彼のおかげで、迷走しそうになってた会議が理性的に進んでいきましたね。
大橋委員長の語る、真田さんが自殺するはずがないと思いつつも、ピッピの予言が当たってほしいと望んでいた…という内容の言葉が怖かった。



何か強大な絶対的なものに思考もその身も委ねてしまいたいという、楽なほうへ流れようとする気持ちは、
多かれ少なかれ誰もが持っているものだと思うから、ここに描かれてあることは本当に恐ろしいのです。
明日にも同じことが現実に起こるかもしれない、いやもう既に起こっているのかもしれない。



謎が深まるばかりのこの物語の行く先を、震えて待とうと思います。




1巻の感想はこちら



 



この記事へのコメント


この記事へのトラックバック