未来へ ~川口淳一郎「小惑星探査機はやぶさ 「玉手箱」は開かれた」・的川泰宣「小惑星探査機 はやぶさ物語」






映画「はやぶさ」を観てから、はやぶさ関連の書籍をいろいろ探して読んでいます。(わかりやすいハマり方だ…笑)



こちらの2冊は、実際にはやぶさプロジェクトに関わったお二方の著書。
映画では、川口先生は佐野史郎さんが、的川先生は西田敏行さんが、それぞれモデルとなった役を演じておられました。
プロジェクトマネージャーとして、はやぶさ運用の中核を担っていた川口先生と、広報として対外的な仕事を一手に引き受けていた的川先生。
立ち場は違えど、未知を探求する心と飽くなきチャレンジ精神という点では、同じように熱いものを胸に秘めてらっしゃるんだと思います。
歳は13歳違うらしいけど、まさに戦友のようなお二人なのかなあという印象を持ちました。



平易な文章で読みやすく書かれているのは的川先生の本のほう。
講演などをよくされているだけあって、素人にもわかりやすい内容だし、どちらかというと一般の人寄りの目線なのでとっつきやすいです。
川口先生のほうにはもう少し専門的な内容が書いてあって若干難しいのですが、さすがプロジェクトのまさしく中心におられただけあってものすごい臨場感。
読んでてより興奮したのは川口先生の本でした。



自らが燃えつきる前にはやぶさが切り離したサンプル入りのカプセルは、はやぶさが後継機へ遺した「たまご」であると、川口先生は書いておられます。
このプロジェクトが成功したのも、先人の研究と実践からいろいろな事を学び教訓としたからで、
はやぶさの成果も、次の挑戦へと生かされていくんですよね。
そうやって、技術は次の世代へ受け継がれていく。
未来のために今を生きるというのは、こういうことなのかもしれないな。



川口先生は、的川先生に言わせると「クールな男」だそうなんですが、
それでも文章のところどころに人柄をうかがわせるものがあって、非常に好感を持ってしまいます。
小惑星イトカワの一部分を「ミューゼスの海」と名づけたんだけど正式な許可が下りなかったことにすごくガッカリして、
結局「MUSES-C」という名前に決まったんだけど、「私はこの「C」は今でも「海」のseaだと思っている」なんてことが書いてあったりして、そのガンコさにちょっと和まされました(笑)
映画であったはやぶさとのお別れのシーン、実際にあったことだったんですね。的川先生のピースサインも!



どちらもカラー写真がたくさん載っていてすごく豪華!
川口先生の本には、スウィングバイでどんどん地球から離れていく写真や、小惑星イトカワにだんだん近づいていく写真が、連続写真として掲載されていてテンションが上がりました。すごい泣けるこれ。
的川先生の本には、漫画家の里中満智子さんから寄せられた励ましのイラスト(ボロボロになった鳥のハヤブサが「ぼくがんばったよ!もうすぐ帰るからね!」と宇宙を飛んでいる絵)も紹介されていて、これも涙腺がやばかったです。



2冊ともすごくオススメです。



映画「はやぶさ/HAYABUSA」の感想はこちら


 



この記事へのコメント

  • 透析鉄(山口達人)

    小生も「はやぶさ」帰還の満身創痍の苦難の道は、地球接近の間近でメディアに色々と取り上げられるようになるまで、余り知りませんでした。

    小惑星イトカワでのサンプル採取がうまくいかなかったらしいということくらいは、新聞で読んで知っていましたが、あそこまで苦難が続いていたとは思いませんでした。

    小生は一介の損保屋で、たまたま入社以来、システム部門にずっといますので、川口先生等の成し遂げたことの途方も無い困難さは、何となく想像がつきます。
    通信途絶した探査機を生き返らせたのは、これが初だったのではないでしょうか(小生も文系ゆえそんなにこの方面には詳しくありませんが、もと科学少年ではあります)。

    イオンエンジンは、小生が子どもの頃でも夢の推進機関と言われていましたので、それがいつの間にか実用化されていたのにも驚かされました。

    的川先生の本は何冊か読んでいますが、川口先生の本は未読なので、そのうち読んでみようとは思います。
    2011年11月05日 22:17
  • 三森紘子

    透析鉄(山口達人)さんへ

    コメントありがとうございます!
    はやぶさにすっかりハマってしまっている最中なので、コメントをいただけて大変うれしいです(笑)

    私も、はやぶさが実際に運用されていた当時は全く興味がなく、映画を観て初めて、こんなにすごいことが為されていたのを知りました。
    透析鉄さんはシステム部門に就かれているとのことなので、門外漢の私などよりもっと現実的なものとして、はやぶさに降りかかった困難をお感じになっただろうなと思います。

    >イオンエンジンは、小生が子どもの頃でも夢の推進機関と言われていましたので、それがいつの間にか実用化されていたのにも驚かされました。

    そうだったんですね。夢が現実になるまで、きっと大勢の方々のたゆまぬ努力があったんだと思います。本当に頭が下がります。

    川口先生の本も、的川先生とはまた違った視点からプロジェクトについて書かれていて、とても面白く感動的でした。
    ぜひ読んでみてください♪
    2011年11月06日 20:56
  • 透析鉄

    夢のまた夢のまた夢のエンジンを搭載したロケットは光子ロケットですが……これは光子ヨットである意味、実現しつつあります。

    このプロジェクトで一番きつかったのは、周波数が分からなくなった「はやぶさ」からの電波を見つけ出した担当者かも知れません。

    正に砂漠に落ちた一本の針を見つけだすような、信じがたい困難を成し遂げたのではないでしょうか。

    小生だったら確実に根負けするか、精神を病むくらいの大変さだったろうと思います。

    川口先生も無論、何としてもでも「はやぶさ」本体の大気圏突入は避けたかったかとは思いますが、古典力学の法則には勝てなかったのでしょうね。

    個人的にはイオンエンジンをつなぐ回路を入れた技術者に最大限の天晴れ!をあげたいですね。

    小さな部品一つが、耐用年数を遙かに越えて動き続けたイオンエンジンの命を見事つなぎましたので……。

    日本の宇宙開発は、純粋に平和利用しかしていない、とJAXAのメンバが誇らしげにNHKの番組で語っていたのも印象に残っています。




    元科学少年の現おっさん…
    2011年11月19日 01:24
  • 三森紘子

    透析鉄さんへ

    ふたたびのコメントありがとうございます!

    >夢のまた夢のまた夢のエンジンを搭載したロケットは光子ロケットですが……これは光子ヨットである意味、実現しつつあります。

    ひえ~、そうなんですか! 本当にすごいですね。私なんかは「すごい世の中になったな~」で済ましちゃいそうになりますが、これも科学が勝手に進歩していったわけではなくて、どこかに努力をし続けている人がいるからこその実現なんですよね…!

    >このプロジェクトで一番きつかったのは、周波数が分からなくなった「はやぶさ」からの電波を見つけ出した担当者かも知れません。

    そうですね、私もそう思います。可能性があるとはいえ、手ごたえのない作業を延々とやり続ける…というのは本当に大変だったでしょうね。

    >川口先生も無論、何としてもでも「はやぶさ」本体の大気圏突入は避けたかったかとは思いますが、古典力学の法則には勝てなかったのでしょうね。

    無念だったでしょうね…。宇宙の専門家でいらっしゃるからこそ余計に、どうがんばっても「はやぶさ」を助けられないという事実が身にしみて感じられたのではないかと思います。
    そういえば、映画(「はやぶさ/HAYABUSA」)ではそのあたりの説明が飛ばされていたので、後からあれ、なんでかな?と思いました。

    >日本の宇宙開発は、純粋に平和利用しかしていない、とJAXAのメンバが誇らしげにNHKの番組で語っていたのも印象に残っています。

    そうなんですね。その番組は観ていないのですが、先生方のご本を読むだけでもその思いは伝わってきます。本当に素晴らしい方々だと思います!
    2011年11月20日 13:06

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