「なぁ よし子 主語を逆にしてやろう
世間が女をどう見るかではなく 女が世間をどう見るか……」
全然存在を知らない漫画だったのですが、とある方に「三森さん好きなんじゃないかと思います」とオススメしていただき、
確かにあらすじや評価を見てみると私めっちゃ好きそう…読んでみたいかも…ていうか読むだろうこれは! っていうか買うだろうこれは!
と思って購入しました。
時は大正。最も華やかで最も激動の時代に二人の少女は出会った。
漁村の生まれで、借金のカタに売られかけた少女・よし子。
成績優秀、眉目秀麗、華族の血を引くお嬢様・千世。
共通点なんて、まるでない。だけど、時代に逆らい自由を求める気持ちが二人を繋ぎ、二人の夢が始まった――!!
大正浪漫大河ストーリー、ここに開幕!!
(1巻裏表紙より)
なんだか、あらすじだけ見ると大正浪漫でガール・ミーツ・ガールなキラキラ青春サクセスストーリーといった趣ですが、
いえそれでまあ正しいんですが、それ以上に炸裂するシュール&おとぼけなギャグ世界に目が釘付けだったりします。
日下直子、か……くそっ、ノーマークだったぜ…!!
あんまりフワフワしてない、ぺったりした絵柄の雰囲気が、シュールなギャグにほどよくマッチしてて最高です。
千世に「どう思う?」と意見を訊かれたよし子が喜びのあまりお釈迦様のお迎えで極楽浄土に旅立とうとするところや(フランダースの犬かよ)、
香奈子お嬢様の小刀が勢い余って窓から顔を出した国原のすぐ横にビィィンと刺さるところ(そして無表情なところ)がスキすぎて、無言で笑い転げました。
マリ子ちゃん(人の顔が書かれた毬。よし子の友達。のちに院長先生の友達となる)も再々登場してこの時代の解説やらいろいろしてくれるのですが、いかんせん毬なので登場するだけでギャグになるんですよね…
そして何よりよし子がかわいいっ! おつむはちょっと弱いかもしれないけど、けなげで一途で素直で何かにトコトン熱中できる情熱を持っていて。
うどんを口いっぱいにたらしながら縄ばしごに捕まった姿で千世と初対面する場面が大好きです。トランス状態で乙女絵を描きまくるところも。
千世様は男前です。お美しいでも凛々しいでもなく、男前。
もう、千世様を男にしてよし子との凸凹カップルでラブコメでいいんじゃないの? とも思うけど、女性の生き方がテーマになってるからそんなことはできないな…
でも、そう思っちゃうくらい千世様は男前なのです。
途中から登場する男性陣もなんかヘンで面白い。
クールでニヒルで冷酷なのにどこかカッコつかない森介(ちょっとかわいそう)や、おバカで軟弱な美少年かと思いきや実はキレ者…??な卓磨様(こいつが最強な気がする)などなど。国原も好きでした。
それから、千世様が寝ているベッドのかけ布団の柄がすごくかわいい! ツバメ柄?
レトロな大正ファッションが好きな人は余計に楽しめるんじゃないかなー。
最初はなかなかうまくいかなかった諷刺画の合作も、新しい道が拓けたところで次巻へ続く。
本当のサクセスストーリーになっていくのかな? 千世とよし子の、ちょっとバイオレンスで食い意地はってるけどとっても美しい友情のゆくえも気になるところです。
作者さんの前作「ヤマありタニおり」もぜひ読んでみたいな。折り紙男子の青春とか新しすぎる…。
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