西森博之「満天の星と青い空」感想




 「俺の知らないシナリオで水上は生きている。
 その上、俺のシナリオを書き換えた。
 どうやら俺も生きている。とうとうドキドキしてしまったのだ。」



これは一応ちゃんと感想かかねば!と思ってかいてます。



 

漫画家・西森博之先生が初めて書かれた小説です。
西森作品の魅力といえば、何といってもあっけらかんとした独特かつ唯一無二な味のあるセリフやモノローグがその一つだと思うのですが、
そんな西森先生が小説を書くというのだから、もう読むしかないだろコレ西森ファンの端くれとしてはヨォという意気込みで発売日に本屋へ向かいました。



最初のほうこそ、ああやっぱり漫画の絵が思い浮かぶ、漫画をそのまま文章化した感じ、やっぱ西森先生は漫画だよ! ニシモリマムガだよ! なんで漫画で描いてくれないのー! と雑念を交えながら読んでましたが、
そのうちそんなことも気にならなくなり、とにかく世界に没頭して一気に読んでしまいました。
(処女作だというのに300ページ超もあって、これまた読み応えがすごいのです)



 舞台は修学旅行の京都。圧倒的な戦闘力と、冷めきった魂を持つ高校生・真吾。本が好きな可愛い女の子・鈴音。
 交わるはずのない二人が、出会ってしまった。
 突然訪れた世界の終末を前にして、二人は生き残れるのか?
 ギャグあり、恋あり、暴力あり、命がけの旅が始まる。描き下ろしサバイバル青春ストーリー。
 (Amazon内容紹介より)



書き込むところはそんなとこまで?というほど丁寧に描写し、省くところはバッサリ省くメリハリのつけ方、
そしてあっさりしているのにじんわり感動的なラストは、西森先生の真骨頂。
殺伐とした話のはずなのに、読後の胸に残るのはほんわかしたあったかい気持ちでした。
感情を知らなかった真吾が、無法地帯となった世界で奏でる小さな恋のメロディに、キュンと胸を切なくさせられました。
ハッピーエンドでよかった!!



ところで、主人公・中澤真吾が途中から「お茶にごす。」のまークンに思えて仕方なくなってたのですが(「視線が外れず体だけが上下動する獣のように向かって来た」という描写とか、完全にまークンとして脳内イメージされた)、
あとがきによると、「お茶にごす。」を連載する前にいったんネームで描かれたもののお蔵入りしていた話を小説化したんだそうですね。
この話が先にまずあって、そこから「お茶」のキャラクターが生まれたということか! どうりでー!
真吾→まークン、横川→ヤーマダ、鈴音→姉崎部長、という感じかな? 終盤に出てくるねー子はヒナちゃんかな?



ちなみに私の個人的なイメージでは、


真吾→まークン
横川→ヤーマダを二枚目半にしたかんじ
鈴音→ルー子を大人しくしたかんじ
理英子→陽子(「道士郎でござる」に出てきた巨乳の女子)
榎本→ポックル仲田
中川祥子→奥沼サン
ねー子→ミヨッペ


というキャスティングで読んでました。
しかし、サバイバル→茶道って、すごい振れ幅だな(笑)



読んだときこそは、漫画で描いてくれたらいいのにーって思ったけど、
考えてみれば人が死んだりするダークな展開は、西森漫画ではあんまり見たくないかも…。
だから、絵のない小説でちょうどよかったかもしれないです。
オススメ。



追伸・あとがきもおもしろかった。あとがきも漫画で描いてほしいくらいだった(笑)



「お茶にごす。」11巻の感想はこちら(←ここから各巻の感想にとべます)



 

この記事へのコメント

  • いやー、面白かったですねー。
    何で小説?? というのは私も思ったのですが、
    普段の漫画とは違って絵には描けないモノを
    西森センセはこの作品では描きたかったのかナァ、
    なんて思いました。
    そして脳内キャスティングがほぼ三森様とかぶってて密かに嬉しいですw
    2012年08月03日 00:55
  • 三森紘子

    栞さんへ

    コメントありがとうございます!

    >脳内キャスティングがほぼ三森様とかぶってて密かに嬉しいですw

    わーお!マジですか!!これは地味にかなりうれしいですー^^
    ほんとに面白かったですよね。
    西森作品は漫画のほうでも相当密度が濃いと思うのですが、
    小説だとさらに濃くなってて、一冊にぎゅぎゅっとつまっていて大変楽しませていただきました!
    2012年08月03日 23:26
  • のん

    西森博之さんの小説の事は鋼鉄の華柱を買って始めて知りましたっ

    感想を読んで絶対買おうと思いましたっ

    マンガでしか見たことない西森ワールド楽しみ~

    誕生日プレゼントにしてもいいくらい~
    2012年08月06日 17:21
  • ミンツ

    西森さんの努力に敬服です。

    何度考えても、やっぱりすごい!。
    マンガを生み出しつつも、小説まで手がけるというのは
    かなり大変だったんじゃないかと。
    しかも処女作でこの出来!!
    どんどん西森ワールドが広がっていく事に、まず驚いた~。

    早速次の小説も期待しちゃってます、勝手に。


    さらにいろいろネットで調べてたら、西森さんが今後
    もっと加速していく、そんな記事まで。
    http://www.birthday-energy.co.jp

    個人的には、嬉しい方向性です!
    2012年08月06日 21:41
  • 三森紘子

    のんさんへ

    コメントありがとうございます^^

    小説版西森ワールド、超おすすめですよ!
    ぜひぜひ読まれるといいと思います。
    そして「鋼鉄」以外の西森マンガも、どれもおすすめです^^

    誕生日プレゼントが西森作品なんて、私も小踊りしちゃいそうです!(笑)
    2012年08月07日 20:45
  • 三森紘子

    ミンツさんへ

    コメントありがとうございます^^

    >マンガを生み出しつつも、小説まで手がけるというのは
    >かなり大変だったんじゃないかと。

    ほんとにそうですよね!
    マンガと小説では執筆する方法論も違うだろうし、何よりマンガでこれだけ成功してらっしゃるのに、新しい分野に挑戦されるというスピリッツにまず感服します。
    しかも面白いし!

    小説のほうの次回作も、またいつか書いていただきたいですね。
    本当にこれからも加速していってくださるなら、ファンとしてとてもうれしいです。
    2012年08月07日 20:55

この記事へのトラックバック