
夏だけを過ごす山荘で、大人たちが、何の役にも立たないけど何やら妙におもしろい創作遊びをする話。
全編、オリジナルな遊びを遊んでいる大人たちの話。
「雨が漏るってこと?」
「そう、アマモル」マにアクセントがくるおじさんの言い方には「元ネタ」があるのだが、エミさんたちは知らない。大昔、ヤツオの母親が、穴のあいてしまったやかんに、当時出たばかりのマジックインキで大きく「アナモル」と注意書きして、それで他の鍋と一緒につるしておいた。家人は皆その警句をみて、なるほど、アナでモルから、これは使っちゃいけないわけね、と納得し続けていた。
長い年月を経て、大人になったヤツオが思い出して、それでやっとツッコめるようになった。
「捨てろよ!」と。
引用が長くなりましたが、こんな感じで、「内輪ネタ」や「ローカルルール」のオンパレード。
しかもそれらは現在進行形で、読者の目の前でどんどん新たなルールやネタが出来上がっていく。
ものすごいライブ感。
内輪ネタというのは大体、その場にいる人しか楽しめないものだから、「いいなー私もまぜてー」と思うか、「そうそう、そういう内輪のテンションあるよね、知ってる」と思うか。
どっちかだと思う。
それ以外にも、コーヒー飲むー? と尋ねたら、ノムー、ノムー、ノムー、と声が帰ってくる描写なんか大好きでした。
なんか珍しい生物の鳴き声みたい。
無性に人に勧めたくなる本です。というのは、このライブ感を共有してもらいたいのと、ここに出てくる遊びを実際に誰かと遊んでみたいから。
私が特にやりたいのは麻雀牌を使用しておこなう「ケイバ」。
三森厩舎の馬は、「ホントノエース」と「ゲンミツニカツ」と「ミハシノイブクロ」にします(今適当に考えた)
「顔」もやりたいけど虎の巻がないから、一から作成するのは大変そう。
「軍人将棋」や「それはなんでしょう」は頭を使いそうなのでちょっと尻ごみするなあ。
こんな小説書こうと思った長嶋さんが真剣にすごい。
この記事へのコメント
透析鉄
もともと購読している東京新聞夕刊のコラムが面白くて、本を買ってみました。
穴のあいたヤカン、確かに無用の長物ですね(^_^;)
こういう方が、真剣にしょーもないこと(無論ほめ言葉です)をきちんと書いているのが、イイですね(^_^)v
三森紘子
コメントありがとうございます!
そうそう、「真剣にしょーもないこと」を書いてるのがいいんですよね!
私も長嶋さんは、最初は評論系のエッセイを読んで好きになって、そのあとに小説を読みました。
「安全な妄想」もぜひ読んでみたいです^^
柳 多久
三森さんの読書メーターの感想と、こちらの感想を読んで気になり、
『ねたあとに』、読んでみましたー!
とっても面白かったです^^
自分ひとりでは出会うことのなかった本だと思うので、感謝感謝です!
「ケイバ」が一番できそうなゲームですよね!
競馬実況に詳しい人がひとり欲しいです(笑)
でも個人的に一番やりたいのは「顔」かもしれない、と思いました(笑)
三森紘子
こんばんは、コメントありがとうございます^^
「ねたあとに」読まれたんですね! わーい!
「ケイバ」やりたくなっちゃいますよね~。
でも確かに実況できる人がいないと面白くなさそう(笑)
「顔」はほんとに、作中で使用された巻物をぜひ商品化してほしいです!
売り出されたら買おうと思います(笑)