長嶋有「ねたあとに」感想





夏だけを過ごす山荘で、大人たちが、何の役にも立たないけど何やら妙におもしろい創作遊びをする話。
全編、オリジナルな遊びを遊んでいる大人たちの話。

「雨が漏るってこと?」
「そう、アマモル」マにアクセントがくるおじさんの言い方には「元ネタ」があるのだが、エミさんたちは知らない。大昔、ヤツオの母親が、穴のあいてしまったやかんに、当時出たばかりのマジックインキで大きく「アナモル」と注意書きして、それで他の鍋と一緒につるしておいた。家人は皆その警句をみて、なるほど、アナでモルから、これは使っちゃいけないわけね、と納得し続けていた。
 長い年月を経て、大人になったヤツオが思い出して、それでやっとツッコめるようになった。
「捨てろよ!」と。

(「その五 過去の遊び」より)




引用が長くなりましたが、こんな感じで、「内輪ネタ」や「ローカルルール」のオンパレード。
しかもそれらは現在進行形で、読者の目の前でどんどん新たなルールやネタが出来上がっていく。
ものすごいライブ感。
内輪ネタというのは大体、その場にいる人しか楽しめないものだから、「いいなー私もまぜてー」と思うか、「そうそう、そういう内輪のテンションあるよね、知ってる」と思うか。
どっちかだと思う。



それ以外にも、コーヒー飲むー? と尋ねたら、ノムー、ノムー、ノムー、と声が帰ってくる描写なんか大好きでした。
なんか珍しい生物の鳴き声みたい。



無性に人に勧めたくなる本です。というのは、このライブ感を共有してもらいたいのと、ここに出てくる遊びを実際に誰かと遊んでみたいから。
私が特にやりたいのは麻雀牌を使用しておこなう「ケイバ」。
三森厩舎の馬は、「ホントノエース」と「ゲンミツニカツ」と「ミハシノイブクロ」にします(今適当に考えた)



「顔」もやりたいけど虎の巻がないから、一から作成するのは大変そう。
「軍人将棋」や「それはなんでしょう」は頭を使いそうなのでちょっと尻ごみするなあ。
こんな小説書こうと思った長嶋さんが真剣にすごい。



 



この記事へのコメント

  • 透析鉄

    長嶋さんの本は「安全な妄想」を読みましたよ。
    もともと購読している東京新聞夕刊のコラムが面白くて、本を買ってみました。
    穴のあいたヤカン、確かに無用の長物ですね(^_^;)
    こういう方が、真剣にしょーもないこと(無論ほめ言葉です)をきちんと書いているのが、イイですね(^_^)v
    2012年08月23日 21:04
  • 三森紘子

    透析鉄さんへ

    コメントありがとうございます!
    そうそう、「真剣にしょーもないこと」を書いてるのがいいんですよね!
    私も長嶋さんは、最初は評論系のエッセイを読んで好きになって、そのあとに小説を読みました。
    「安全な妄想」もぜひ読んでみたいです^^
    2012年08月24日 18:29
  • 柳 多久

    こんばんは~^^

    三森さんの読書メーターの感想と、こちらの感想を読んで気になり、
    『ねたあとに』、読んでみましたー!

    とっても面白かったです^^
    自分ひとりでは出会うことのなかった本だと思うので、感謝感謝です!

    「ケイバ」が一番できそうなゲームですよね!
    競馬実況に詳しい人がひとり欲しいです(笑)
    でも個人的に一番やりたいのは「顔」かもしれない、と思いました(笑)
    2012年09月03日 23:56
  • 三森紘子

    柳 多久さんへ

    こんばんは、コメントありがとうございます^^

    「ねたあとに」読まれたんですね! わーい!
    「ケイバ」やりたくなっちゃいますよね~。
    でも確かに実況できる人がいないと面白くなさそう(笑)
    「顔」はほんとに、作中で使用された巻物をぜひ商品化してほしいです!
    売り出されたら買おうと思います(笑)
    2012年09月05日 20:05

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