万華鏡の幻想 ~皆川博子「倒立する塔の殺人」

わたしたちは、切り花なのだ。空想――あるいは物語――という水を養いにしなくては枯れ果ててしまう。しかも、その水には、毒が溶けていなくてはならない。毒が、わたしたちの養分なのだ。 作中人物の一人・三輪小枝の独白は、そのままこの作品を象徴しているように思える。 皆川博子の「甘美な毒を含む幻惑的な物語世界」(著者紹介文より)は、陶酔して浸りきることができるときもあるけど、毒…

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セーラー服で滑り込み ~神楽坂淳「大正野球娘。」

どうせタイトルの「野球」につられたんだろうと言われるとぐぅの音も出ませんが、同じぐらい「大正」「娘」の部分にもつられました。 弱いんだ、大正モダンとか、女学生とか、はいからさんとかそういう単語に… これは何かのニュースサイトで取り上げられていたのを見て興味を持ち、運よく図書館に入っていたので借りてみたものです。 タイトル通り、大正時代の娘さんたちが野球をするお話。 名門女…

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ひとつだけ ~辻村深月「冷たい校舎の時は止まる」上下巻

辻村深月のデビュー作。 この作品でメフィスト賞を受賞し、辻村深月は世に現れ出でました。 雪の降るある日、いつものように登校すると、校内にいたのはふだんから仲のよかった八人の生徒だけ。 他の生徒や教師が来る気配もなく、校舎から出ようとしても何故か出られず、時計の針はある時刻を示し続ける。 閉じ込められた八人の脳裏に浮かぶのは、二ヶ月前の学園祭最中に起こった同級生の自殺事件。…

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永遠 ~堂場瞬一「大延長」

野球ものの記事ばかりが続いてしまって申し訳ないです。 私が野球に興味を持ち始めたきっかけは、実はおお振りではなくそれより前に読んだ「バッテリー」(あさのあつこ著)なのですが、それ以来、野球を題材にした小説や漫画を積極的に開拓するようになりました。 そしてそのおかげで、もんんんんのすごく面白い本に出会ってしまいました。 読むのは今回が初めての作家さん、堂場瞬一著「大延長」。 …

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いつも心に「ドラことば」

本屋で何度立ち読みしたかわからない、よっぽど買おうかと思い続けてきたけど、まあ図書館にもあるので、とりあえず借りてきた。 「ドラことば」とは、ドラえもんのコミックスを読み終えたとき、あなたの心に残っているセリフのこと、らしい。 そんなもの、いっぱいありますよ。 「だれが、のびちゃんのいうこと、うたがうものですか」から「いつかえさなかった!? えいきゅうにかりておくだけだぞ」…

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