歯車を回しに ~山本弘「詩羽のいる街」

なんかすごくいいものを読んだ。 同じ作者の「MM9」が面白かったので、他の作品もと思って手を伸ばしてみたんですが、 予想以上に面白くて、楽しい気持ちになりました。 タイトルからは何となく、センチメンタルで切な系な、そしてひとつの季節が終わる…みたいな儚いイメージを想像してたんだけど(「詩羽(しいは)」というネーミングもそんなイメージだし)、 もっとずっと論理的で、…

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未来へ ~川口淳一郎「小惑星探査機はやぶさ 「玉手箱」は開かれた」・的川泰宣「小惑星探査機 はやぶさ物語」

映画「はやぶさ」を観てから、はやぶさ関連の書籍をいろいろ探して読んでいます。(わかりやすいハマり方だ…笑) こちらの2冊は、実際にはやぶさプロジェクトに関わったお二方の著書。 映画では、川口先生は佐野史郎さんが、的川先生は西田敏行さんが、それぞれモデルとなった役を演じておられました。 プロジェクトマネージャーとして、はやぶさ運用の中核を担っていた川口先生と、広報とし…

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参っちゃうなあ ~有川浩「空の中」

とても個人的な話になりますが、有川浩さんの小説は私にとって、「見ていてものすごく惹かれるけど、どうしても話の合わない知人」のような存在です。 むちゃくちゃ気になるんです。気になるんだけど、触れ合ってみると合わないの…。文体なのか何なのかわからないけど、どこかに何かがひっかかってしまう。そのことがとても残念で仕様がない。 そういう存在は少し離れたところから見ているのが一番いいよ…

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コメディア・デラルテの開幕 ~小島てるみ「最後のプルチネッラ」

「ごらん、おいらの顔を。もしおまえらが一人ぼっちで闇の中にいて、苦しくて悲しくてどうしようもないと感じたら、きっとおいらと同じ顔をしている。その瞬間、おいらはおまえらの中にいる。おまえらを笑わせたくてそこにいる。闇を知る者だけが、おいらを見つけられる。道化っていうのは、どんなに生きるのがつらい時でも、自分を笑わせることをやめなかったやつだ。笑いが闇を照らす光であることを知っている。だ…

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この人の著作を全部読もうと決める ~桜庭一樹「少年になり、本を買うのだ 桜庭一樹読書日記」

「ゆっくりと回復していく。現実にもどってくる。あとは締め切りごとに、あの世界に戻ればいいのだ、と思うとほっとする。」(本文より) こういう日記を書く人の小説は、全部読みたくなるよなあ…。 もちろん読者を想定して書かれているので、まったくのプライベートな日記というわけではないけど。 日記なのに続きを早く読みたくて、狂おしい気持ちで日中仕事したりしていました。 おおお、おもし…

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