同じ速度で歳を取り ~辻村深月「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」

30歳"という岐路の年齢に立つ、かつて幼馴染だった二人の女性。 都会でフリーライターとして活躍しながら幸せな結婚生活をも手に入れたみずほと、 地元企業で契約社員として勤め、両親と暮らす未婚のOLチエミ。 少しずつ隔たってきた互いの人生が、重なることはもうないと思っていた。 あの"殺人事件"が起こるまでは……。 何かに突き動かされるように、警察の…

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この世界ではときどき ~桜庭一樹「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」

とても眠くて、寝床に入ったけど少しだけ、少しだけ何か読もうと思って、この本のページを開いた。 すぐに後悔したけどもう遅かった。最後まで読みとおして、そしてそのあとなかなか眠れなかった。 桜庭さんのお名前はとてもよく目にしていたけど、今まで何となく避けていたんですよね。 うーん、うまく言えないけど、つかまえられてしまいそうな気がして。 「好きって絶望だよね」 「この世…

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目をひらいて見届ける ~近藤史恵「サクリファイス」

ずっと気になっていて、文庫化された機会に読んでみました。 いい評価も聞いていたし、自転車レースが舞台という設定も物珍しかったので。 単なるスポーツ青春小説ではないことは、タイトルからも想像がつきますが… この展開には驚いた。そして、心の奥から湧いてくる感情を押さえられませんでした。 なんていう世界なんだ。なんて、烈しい――あまりいい言葉が見つからないけど――ところに身を置…

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孫が語る文豪 ~夏目房之介「漱石の孫」

夏目房之介さんといえば、NHK「BSマンガ夜話」で「夏目の目」のコーナーをやっていたり、マンガの文法やオノマトペについて本を書いている人であって、夏目漱石の孫だと知ったのは、ずいぶん後になってからのことでした。 そんな房之介さんが、漱石と自分について書いたエッセイのような、自伝のような、評論のような一冊です。 そもそも私、夏目漱石をちゃんと読んだことがないのです…。「夢十夜」はか…

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ウィ・キャン・フライ ~加納朋子「少年少女飛行倶楽部」

よかった、おもしろかった。表紙のイメージそのままの、かわいくて明るくて、いい気分になれるお話。 中学1年生の海月が幼馴染の樹絵里に誘われて入部したのは「飛行クラブ」。メンバーは2年生の変人部長・神、通称カミサマをはじめとするワケあり部員たち。果たして、空に舞い上がれるか!?私たちは空が飛べる。きっと飛べる。かならず飛べる。空とぶ青春小説。 (amazonあらすじより) …

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