恋の歌 ~加納朋子「スペース」

「いつだって、どこでだって、謎はすぐ近くにあったのです。」 という帯のかけられた文庫本、「ななつのこ」を手にとったのは、いつぐらい前のことだっただろう? ちょうど、主人公駒ちゃんと同じぐらいの歳の頃だったかもしれない。 あの頃は、駒ちゃんのことを「なんて親しみの持てる女の子なんだろう。友だちになりたいなあ」なんて思っていた。 今となっては、ただただ眩しい。歳をとった自分を…

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ありがとうをたくさん ~上橋菜穂子「蒼路の旅人」「天と地の守り人〈第一部~第三部〉」

素晴らしかった…。 ありがとう、上橋さん、この物語を書いてくださってありがとうございます。 バルサに、チャグムに、タンダに、その他の数えきれない人々に会わせてくれてありがとう。 バルサたちと一緒に、心は遙かなる冒険をしてきました。 彼らは、本当に生き生きとしていました。 彼らが「いる」ということを、手触りや息遣いがあるかのように間近で感じられました。 ただの一人も、書…

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深海は未知の世界 ~フランク・シェッツィング/北川和代・訳「深海のYrr(イール)」上・中・下

おおー、3冊並べると壮観! 完全に守備範囲外の小説です。 ハヤカワ文庫でSFでしかも翻訳! 手にとらないわー。本屋で見ても絶対手にとらないわー。 なのですが、これは弟が珍しく「面白い」と勧めてきたので、試しに借りてみたのでした。 上中下巻の3冊もの、しかも1冊あたり500ページ超という大作で、読む前は怖気づいたけれども、いやー結構一気読みに近いペースで読み切ってしまった。…

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感化はされない、でも看過できない ~佐藤友哉「青酸クリームソーダ <鏡家サーガ>入門編」

自意識の袋小路、「読みたいやつだけ読め」というような喧嘩腰、ああ、佐藤友哉だ。 わかってくれない、わかりあえない、わかるはずもない、という前提で書かれた物語? 「わからない」ということを共有するための物語? 嘘だけど。(公彦に倣って、なんでもアリな表現を使ってみました) 普通の大学生、鏡公彦18歳。 ごくごく平均的な、何気なくコンビニエンスストアに 行こうと思って出かけた…

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