映画「陰日向に咲く」を観た。

「魍魎の匣」はそのうちそのうち…と思ってる間に観逃してしまったので、今度は上映してるうちにと思って観に行きました。
劇団ひとりの小説が原作の映画です。(小説の感想はこちら


ネタバレになってるかもしれないのでご注意。


一回しか読んでないので、話の細かい部分はあまり覚えてないのだけど、後ろの席に座った女性3人組がエンドロール開始と同時に「憤懣やるかたない」といった感じで始めた議論によると、小さなエピソードが削られたり、話の都合上設定が変えられたり、してるらしい。(気持ちはわかるけどせめて映画館を出てから始めてほしかった…)


いくつかの短編がリンクしてひとつの大きなお話になっているという原作を一本の映画にするために、それぞれのエピソードを同時進行でやっているので、最初のあたりは少しとっちらかった印象。
説明不足な気がした。サラリーマンがどうしてそんなにホームレスに憧れるのかとかがわかりにくかった気がする。原作を知らない人なら余計。
それから冒頭部分(お小遣い帳うんぬんとか)、ほんとに必要だったかな? と思った。
カメラワークはカッコよかったけど…。


黄色い傘を使った演出はとてもよかったと思います。
個々の人生は分断してるんじゃなくつながってるんだよー、というメッセージが伝わってるように思えたので。
みんながそれぞれ空を見上げるシーンも、同じ空の下でみんな生きてるんだよー、ということを言いたいんだなっていうのがわかるまっとうな演出で、こういうのは好みです。


キャストは特に不満もなかった。
西田敏行の存在感はすごいなぁ…。テキトーなこと言ってるセリフとかも、ついつい聞き入ってしまう。
宮崎あおい(一人二役)の鳴子役のほうはオーバーアクションが気になったけど、がんばってムリに明るくふるまってたんだな…というのがわかると許せる。
緒川たまきは美人。
岡田准一の笑顔は、大スクリーンで観るに足る笑顔だと思う。今回は泣き笑いの表情しかなかったけど…。(ラストシーンの笑顔が素晴らしかった「花よりもなほ」は、映画館で観て大正解だったなぁ)


チラシにある「ひとりじゃない。」というキャッチコピーは、劇団「ひとり」とかけてあるんだろうか…。
でもまさに「ひとりじゃない」って感じのいい映画だったのではと思います。
けどやっぱり、原作のほうが出来はいいかな。



最後に余談を。
桃缶のエピソードはダメだった。泣けた。
ジュピターさんの部屋に桃缶(開封済みと未開封ひとつずつ)があって、ああ、ちゃんと言われたとおりに食べたんだな…もういっこも食べるつもりで置いてたんだな…と思うともう…(涙)
こういう描かれ方に弱すぎる。彼が、彼女が思ってやろうとしていたこと(そしてできなかったこと)を、あとになって他者が知る、というシチュエーション、もうダメ。
中学生のころ読んだ湯本香樹実の「夏の庭」もそうだったなぁ…おじいさんが「僕」たちと一緒にぶどうを食べようと思って、洗ってお皿に盛って机の上に置いて、眠りについてそしてそのまま……あああああ(涙)
そしてそれを最初に見つけるのが他ならぬ「僕」たちなんだ…うわああああーー(涙)


話を「陰日向に咲く」に戻しますが、そんなこんなでまんまと泣かされて帰り道に寄ったコンビニでふと鏡を見ると、見事に鼻が赤かった。わああこんなんで外歩いてたのかー(館内は暗かったので気づかなかった)

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