月よう日はおはなしのじかん ~岡田淳「放課後の時間割」



またもや自分でも存在を忘れていた、「あの日に返りたい」シリーズ第5弾(たぶん…)です。

 子ども時代に読んだ本を読み返す、私が楽しいだけの試み。不定期更新。


タイトルを知っているだけで、もしかして読んだことはなかったかも…と思いつつ図書館で借りてきたけど、やっぱり読んでました。
「アーモンドいりチーズ」をほおばるネズミの挿絵に見覚えがありました。すごくおいしそうだったんだよ。


小学校で図工の先生をしている「ぼく」は、ひょんなことからある日の放課後、二本足で歩き人間の言葉をしゃべるネズミに出会う。
彼は、自分がこの学校の天井に住みつく「学校ネズミ」の最後の一匹なのだと名乗る。
お話をつくったり話したりするのが大好きだという学校ネズミは、自分が今まで他のネズミからきかされてきたお話を「ぼく」にきいてほしいと言う。
こうして毎週月曜日、「ぼく」とネズミとの「放課後の時間割」が始まったのだが…。


ネズミによって語られるさまざまなお話が、各章立てになっているという構成です。
これがなかなかバラエティに富んでいて飽きない!
一息に読むのもいいし、「次のお話はまた今度」と、一章ずつ読み進めるのも楽しそう。実際そういう形での読み聞かせも行われているんじゃないかなぁ。


ユーモラスな話も、不思議な話も、ちょっぴり悲しい話もあるんだけど、どれもあとに余韻を残す素敵な短編です。
一年生ネズミの『しゃっくり』の終わり方とか、いいなぁ、巧いなぁと思う。
一番好きだった話は四年生ネズミの『すると、雪がふりだした』。
「すると、雪がふりだした」という一文をどこかに入れるというテーマで作られたお話。
だからその一文が使われることははじめからわかってるんだけど、その使われ方が見事でした。う、うつくしい! すてき!
フラッツ、フラッツ、フラッツ…と表現されるウサギの軽やかな足音も、とっても効いてたと思う。


そして、放課後の時間割が繰り返し続いていくうちに、「ぼく」とネズミとの間に少しずつ親愛の情が深まっていくのがよかった。
三月になって、「ぼく」は他の学校に異動になってしまうのだけれど、そのときも寂しさを表に出さずに穏やかにお別れすることができたのは、物理的な別れがほんとうの別れでないことを二人ともちゃんとわかっているからなんだろうな(正確には一人と一匹、ですが)。
大人だよなぁ、「ぼく」もネズミも。
新しい学校にやってきた「ぼく」が、放課後図工準備室で、その学校にもいるであろう学校ネズミたちに向かって話しかけるところで物語が終わっているのも、とてもよかった。
前の学校のネズミとともだちになってくれるネズミが、新しい学校にいたらいいな。


この本は挿絵も著者の岡田さんが描いてらっしゃるのですが(実際に図工の先生をされていたそうです)、それがすっごく可愛らしいんですよね。
特に、各章タイトルの下に小さくカットとして載っているネズミの絵がお気に入り。『学校こわい』での、逃げていくナメクジの後ろ姿もキュンとしちゃいます。
また読めてよかったな。



ちなみにこのシリーズのきっかけはこの記事
第1弾は「ひとりぼっちのロビンフッド」、第2弾は「九月○日大冒険」、第3弾は「キャプテンはつらいぜ」、第4弾は「ふしぎなおばあちゃんがいっぱい」でした。

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