再読・梨木香歩「家守綺譚」



さいきん、自分のお気に入りを再読するのが楽しくて、本棚を物色しています。
「家守綺譚」のことがほんとうに好きで、何度も読み返しているのだけど、やっぱり何度読んでも、いい。
ほんとうに、好きです。


「村田エフェンディ滞土録」の村田の名前が、作中にちゃんと出ていたんだなぁ。前に読んだときは「村田~」を未読だったのでサラッと流してしまったけど。
隣のおかみさんの泰然としたところや、犬のゴローの賢いところ。
主人公綿貫と、亡き友人である高堂。
賑々しくのびやかに、生を謳歌しながらともにこの国に住まう。犬も河童も、人も桜も。


ラスト数行が好きすぎて、もったいなくて引用できないので、別なところを引用することにした。


 最近筆が進まなかった。執筆にはペンとインキを用いているのに、筆が進まないとは。しかしペンが進まないと云うより、筆が進まないと云う方が、精神の在り方に即しているような気がする。思うにこれは、千年以上慣れ親しんだ筆硯から、ペンとインキへ移行するのに、我々の魂が未だ旅の途上にあるためではあるまいか。


そうなのかも、と妙に納得してしまった一節。今だってキーボードを叩いていても、「筆が進む/進まない」という表現をするもんなあ。そうか、旅の途上なのか。


 ――おまえの覚悟次第だ。
 そう呟いた高堂の姿が、ふっと一瞬闇にぼやけた。雨は次第に激しくなり、家の中は益々暗くなる。ざざっと、木々が風に揺らぐ音がする。此処で高堂を見失わないようにすればよいのか。


高堂は、素敵ですね。「高堂(こうどう)」という名の響きからしてもう、既にいい(笑)


装丁はハードカバーのほうが好きなのだけど、文庫版は文庫版でかわいいんですよね。
神坂雪佳の絵で。こちらを向いてる小鳥(雀?)がかわいい。
しかも安い! 税込で400円もしません。お得です!(って、回し者かよ・笑)


ほんとうに、好きで好きでしようがない。日本語が読めてよかったな、うん。



「家守綺譚」の感想(一回め)はこちら
「村田エフェンディ滞土録」の感想はこちら

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