手作り欲がうずうず ~森山京「こうさぎのかるたつくり」


↑これは新装版


「あの日に返りたい」※シリーズ第7弾です。
※ 子ども時代に読んだ本を読み返す、私が楽しいだけの試み。不定期更新。



図書館で「今日は児童書の棚を攻めるぜ」と児童書コーナーをうろうろしていたときに、天啓のように突如、
「そういえば、うさぎとかくまとかが集まってかるたを手作りする話を読んだことある!!」
と幼少期の記憶がよみがえり、すぐさま検索端末をたたいて見つけ出した本です。
いやー大好きだったのよー! 小学生のとき何度も繰り返し読んだものです。
これは自分で持ってたんだっけ? それとも図書館で借りてたんだっけ? 忘れてしまうほど昔のことだ。(そもそもくまなんて出てこないし)



仲良しの「こうさぎ」と「こりす」と「こぎつね」が、三匹でかるたをつくることになったというお話。
あいうえおの「あ」から順番に、自分たちで考えたかるたの文と、それにちなんだエピソードが描かれます。
たとえば「あ」なら「あめふり まってる あたらしい かさ」。あかいかさを買ってもらったこうさぎが、はやく雨がふらないかなあと待っている…というように。



私が一番好きなエピソードは、「し」の「しろい はんかち よごすの おしい」です。
はんかちを持ってないこぎつねとこりすに、こうさぎのおかあさんがはんかちを縫ってあげる。
こりすのには茶色の糸できのこの刺繍が、こぎつねのには青い糸でぶどうの刺繍がしてあります(ちなみに、こうさぎのは赤い糸でいちごの刺繍)
二匹ともたいそうよろこんで大事にポケットに入れるんだけど、大事にしすぎて汚すのがもったいなくて、結局使わないままで…。
かわいいっ。かわいすぎる!
「いつでも洗ってあげるから持ってらっしゃい」とこうさぎおかあさんに言われた二匹が、安心してはんかちを使ったその使用法が、またすてきでニッコリしてしまうのだよね。
手を洗ったあと、こりすはぱっぱっと両手をふって水を切り、こぎつねは上着のすそでごしごしふき取る。というくだりも、ずいぶん長いこと、トイレで手を洗うたびになぜか思い出してしまうエピソードでした。



大社玲子さんの挿絵も、今見ると改めて良さがわかります。
リアルすぎず、ディフォルメされすぎもしない、ちょうどいいバランスの動物のかたちをしたこうさぎたちが、ころころと動き回るさまは、眺めているだけで幸せな気持ちになる。
やんちゃ坊主のこりすが私はお気に入りです。こぎつねのおとうさんのエピソードにはきゅんとなったし、こうさぎのおしゃまなキュートさもたまりません。
写真をとってもらうときの、三匹三様の「くせ」が挿絵で表現されているのですが、これがもうものすごい可愛さ。「子どもって、こういうのあるある!」と思える要素がたくさん入っているのも、この作品の魅力のひとつです。



そして、何といっても「文も絵も自分たちで考えた、オリジナルかるたを作る」というストーリーがすばらしい。
チビッコの工作欲・創作欲を何ともそそる内容ではありませんか。
幼少期の私も例にもれず、「わたしも自分でかるたつくるー!」と触発されていました。実際に完成したのかは覚えてないけど…
2009年に新装版が刊行されているようなので、お求めやすいはずです。今の子どもにもぜひ読んでほしいなー。



ところで、この作品の初版発行は1986年なのですが、その奥付の著者紹介欄には、著者と画家両名の「現住所」(!)が書いてあるんですよね…。
番地まではっきりと。今では考えられないおおらかさ!
自宅まで押しかけるファンの人とかいなかったのかなあ。
呼び鈴に気づいた著者が玄関のドアを開けるとそこには小さな女の子が立っていて、
「もりやませんせい、わたしもこうさぎとおんなじようにかるたをつくったの、みてください。」
と、小さく切った画用紙のたばをおずおずと差し出す…なんて心温まる挿話を捏造して、ひとしきり癒されました(笑)


 

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