誰かの思い出が残る ~恩田陸「私の家では何も起こらない」




 「デジャ・ビュって――笑わないでよ、デジャ・ビュって――実は、幽霊のことなんじゃないかって。」



「丘の上の幽霊屋敷」を舞台にした、連作ゴーストストーリー。
「なんだかいつのまにかぞっとさせられている」というような文章を書かれるのがとてもお上手な恩田さんなので、この題材はドンピシャだと思う! 没頭して読めました。



連作のなかでは「俺と彼らと彼女たち」が一番好きかな。
大工さんの親子が渋くてかっこいい。



「この世に幽霊屋敷じゃない屋敷なんてあるのかしら」という一節が、なんというかすごく、腑に落ちます。
死んだ人間というのはこの先もずーっと増えていく一方なのだから。生きてる人間が死んだ人間の数を超えるということは未来永劫ないんだろうから。
いまこの場所に、いつかのときに存在していた数えきれない人々の思いや記憶が、今存在している人の心にデジャ・ビュとして現れるのだとしても、ちっとも不思議なことではないような気がする。
自分に全くゆかりのないものに対して、懐かしさを感じることは、結構普通にありますもんね。
毛程も霊感のない人間なので、よくわかりませんけれども…。だからこそ単純にフィクションとして楽しく読めているのかもしれないです。



そもそも、「私の家では何も起こらない」というタイトルがいい。とても興味をそそられる。
装丁もすごく良い! 古いお屋敷の壁紙の模様みたい。
あったかそうで、でも夜はちょっと怖そうな、そんなイメージ。



それから、トイレを探す夢をよく見るという話。
私もものすごくよく見ます、トイレの夢。
たいてい、ものすごく狭くて用を足すのもままならないか、シャワールームみたいに上と下が空いた扉がついてて外から丸見えで用を足すのもままならないかで、どちらにしろ気持ち良く用を足せる展開にはならないのがお約束。
まあ、もし足せていたとしたら、現実でもオネショしちゃってそうなので、足せない夢で助かりましたけど(笑)



 

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