定点観測 ~伊坂幸太郎「あるキング」




「自分が読みたい物語を自由に書きたい」との思いがあった、とあとがきに書いてあって、
なるほど、今、伊坂さんが書きたいのはこういう話なんだな、と思った。
たぶん、私が読みたいと思っている「伊坂幸太郎」とはどんどん違うところに行っているなあという気がするのだけれど、
それはとりあえずおいといて、この話が好みかそうでないかというと、めちゃ好みではあるのですよね。
設定とか、構成とか。ラストとか。



王になるべく運命づけられた男の物語、と帯にあります。
王というのは、国を統べる王ではなく、プロ野球チーム「仙醍キングス」の王のことである。
仙醍キングスの監督が試合中の事故で死んだ日に生まれた男。彼は、仙醍キングスで野球をするべく両親に育てられ、その通りに成長していく。
親から、同級生から、どこかもっとおおきな視点から、語られるその男の野球人生。



作品冒頭にも書かれているとおり、伝記のような、童話のような、不思議な定位置からみた物語であります。
読み終わって抱く感想も、不思議な手触りのものでした。
ものすごく複雑で壮大で長い夢をみていたけど、目覚めたら全部忘れちゃってた、みたいな感じ。
Amazonのレビューを見たら、ものすごく綺麗に見事に評価がバラけていたので、おもしろかった。



遅いボールを「トンボール(トンボが止まりそうなボールの意)」と呼ぶのがなんか好きでした。語感がまるっこくて。
あと、「あるキング」というタイトルもなんかヘンなタイトルですよね。まるっこくて、なんかまぬけ。あんまりかっこよくない。それが好きでした。


 

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