ひさびさ ~伊坂幸太郎「オー!ファーザー」




みんな、俺の話を聞いたら尊敬したくなるよ。我が家は、六人家族で大変なんだ。そんなのは珍しくない?
いや、そうじゃないんだ、母一人、子一人なのはいいとして、父親が四人もいるんだよ。しかも、みんなどこか変わっていて。
俺は普通の高校生で、ごく普通に生活していたいだけなのに。そして、今回、変な事件に巻き込まれて―。
(Amazon内容紹介より)




どうしたの~、昔の伊坂さんテイストじゃないですか! と(個人的に)喜んだのだけど、それもそのはず、あとがきを見て納得。
「ゴールデンスランバー」より前に書かれた作品だったんですね。
しかも、新聞連載。これは明日が来るのが楽しみになるよ。



これを書きあげた頃の伊坂さんは、新しいことに挑戦したいという気持ちがあって、まんま自分の得意分野である
今作はあまり好きになれなかったのだそうです。
というわけで、「今までとは少し違う小説」である「ゴールデンスランバー」「モダンタイムス」「あるキング」「SOSの猿」を経たのちに、客観的に読むことができるようになったこの「オー!ファーザー」を刊行する運びになったのだとか。
初期の伊坂作品が大好きな自分としては、伊坂さんのこの挑戦には複雑な思いがあったのですけど、挑戦を忘れないスピリットは素晴らしいと思います。
…でもやっぱり、今作を読んだとき、「これっ! これを待ってたのー!」と、砂漠に水を得たような心地になったのも事実なんだよなー。



まあ、そのへんの葛藤は自分の内で処理するとして。
大人が、大勢で、少年のために動く、という構図は、「陽気なギャングが地球を回す」を思い出させてユカイです。
なんで父親が4人もいるのかというと、母親が四股をかけていたからなんですが(このお母さんが出番少ないくせにすごい存在感!)、4人がそれぞれ個性的でありながらも、息子のピンチには一致団結して駆けつけるんですよね。
こんなにヘンでおもしろくてカッコイイお父さんが4人もいるなんてうらやましい。(実際に息子の立場になったら苦労も相当多いだろうけど…)
4人のなかでは、私は鷹さんが好きです。



最終ボス的存在である富田林さんを一体どう攻略するか、というところのオチ(?)が、ポカンと口を開けたのちに膝を叩く感じで良かった(笑)
そうくるとは思わなかったー。鱒二はおもしろいなあほんと。
よくわからない女子高生多恵子ちゃんも、だんだん好きになっていきました。この子は結局由紀夫のこと好きなのか?



とにもかくにも映像喚起力が強くあって、こんなことばかり言うのもどうかなーという感じですが、映画で観てみたいなあとすごく思います。
もちろんその場合は、4人の父親を誰が演じるかによって出来栄えがまったく変わってくると思う。
達者な役者さんが4人の役をやってくれたら、絶対おもしろいよ!



食卓でこちらを向いて座っている4人の父親、というイメージが頭の中にこびりついて離れない。世にも幸福な風景として、私の中に居座ってしまいました。
具体的に誰がこの役、というのはまだないから、みんなぼんやりのっぺらぼうの顔なんだけど(笑)



 

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